ケント・ギルバート(米カリフォルニア州弁護士)
呉善花(拓殖大学教授)

ケント 日本人が他国によるプロパガンダに弱い原因は、学校教育のなかで自国の歴史や文化をきちんと教えていないことが大きい。自虐史観を植え付け、自尊心を奪うような教育ばかりを日本ではしていますからね。

 こうした現状をなんとかしたいと思った私は、日本人に日本とは何かを改めて知ってもらう必要があると考え、『ついに「愛国心」のタブーから解き放たれる日本人』(PHP新書)を書きました。

 じつは本書では「愛国心」ではなく、「母国愛」という言葉を使いたかったんです。というのも、日本では「愛国心」というと、その言葉だけで右寄りというか、ネガティブな印象があるからです。ただ、「母国愛」という言葉はそこまで一般的ではないので、「愛国心」としました。

 どちらの言葉を使うにせよ、国を愛するのは、母を愛するのと同じように普遍的な行為だと、この本で知ってもらいたかったのです。

 私が日本に来たのは34年前ですが、「愛国」や「愛国心」という言葉が何か怖い印象で捉えられていたことには驚きました。韓国ではそれらの言葉は当り前のように使われていたからです。

 当時の韓国で「愛国」というと、ほぼ自動的に「反北朝鮮」「反日」の感情が浮かんでくるところがありました。そして現在では「反北朝鮮」の感情がなくなって、「反日感情」だけが残っている。韓国の「愛国」は日本という憎む対象がまずあって、それによって支えられているといっても過言ではありません。

 一方、日本人はあまり愛国心を表現しませんが、故郷のお国自慢は大好きですね。日本の地方に講演にいきますと、「こんなにお酒がある」「こんなに景色のすばらしいところはほかにありません」などと、一生懸命に「お国」自慢をしてくれます。日本人はつねに忘れ難きふるさとを心に抱いて生きている、愛郷心ですね。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 じつは愛郷心こそが愛国心のベースをなすものです。この古くからあるベースだけは失われていない。韓国人の愛国心にはこうしたベースがないんです。宙に浮いている。

 また、「ふるさと」という言葉を聞いて日本人が思い出すのは、いつも母のことではないでしょうか。その点、ケントさんが「愛国心」とは「母国愛」のことだというのは、なるほどと思いました。