この支持率低下は、南北首脳会談と徴用工判決が政権浮揚に全くつながらなかった事実を教えている。国民は、文大統領と左派勢力の「反日・親北朝鮮政策」に、ソッポを向いているのだ。

 この危機的な状況を回避するために、大統領周辺が日韓関係をさらに悪化させる「作戦」に出たのではないか。日本との軍事的な衝突を演出し、「不当な言いがかり」と反論した上で「日本の悪意」を宣伝すれば、世論が一致団結し、政権支持も回復すると考えたのだろうか。だとすれば、浅知恵としか言いようがない。

 日本は、文政権を巡る韓国の政治状況を理解した上で対応すべきだ。事実確認と責任者の処罰を求める一方で、韓国民を刺激しない「政権と国民の分離戦略」を取るべきだ。つまり、事実確認と関係者の処罰、被害判定、再発防止を徹底して求めることが重要になる。

 韓国が応じなければ、日米韓3カ国の軍による公平な共同調査を要求すべきだ。自衛隊のパイロットの命が危険にさらされたのだから、当然である。

 韓国国防省は、マスコミを使い「P1哨戒機が韓国海軍艦艇に低空で異常接近した」と報道させ、「日本の対応は騒ぎすぎだ」と説明し、国民の「反日感情」を煽ろうとしている。自衛隊機は「異常接近していない」のだから、この説明も嘘だ。

 日本としては、韓国に「あまり追いつめない」「適当にうやむやにしよう」との考えを抱かず、「遺憾の表明」で逃げ切らせてはならない。韓国語では、単に「残念だった」という意味にしかならないからだ。これでは、日本がまた甘く見られてしまう。「ごめんなさい」の意味になる「遺憾に思う」と表明させることが肝要だ。
2018年12月、日韓議員連盟会長の額賀福志郎元財務相(右)とソウルの大統領府で握手する韓国の文在寅大統領(共同)
2018年12月、日韓議員連盟会長の額賀福志郎元財務相(右)とソウルの大統領府で握手する韓国の文在寅大統領(共同)
 前述の通り、レーダー照射は、韓国政権の威信を揺るがす大事件である。単なる兵士の「反乱」や「誤作動」ではなく、指揮命令権が否定されたのだ。韓国軍は政権が変わるたびに、保守派と左派が軍首脳や幹部の大幅入れ替えを行う「報復人事」が横行し、軍の士気も低下している。この韓国軍の崩壊現象が背景にはあるのだろうか。

 金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)の親北政権で、「北朝鮮は韓国軍の主敵ではない」との立場を明らかにしていたように、流れをくむ文政権でもこの政策を実行している。おかげで、今や韓国軍は「敵のいない軍隊」だ。このスタンスが米韓同盟を崩壊に向かわせている。共通の敵が存在しなければ、同盟は維持できない。米韓同盟と韓国軍の混迷は深い。