ところがネット上で使う名前(ハンドルネーム)が常用されるツイッターでは、フェイスブック同様の「買います」「楽しみです」といったコメント以外に、特定アカウントからネガティブなコメントが寄せられるようになった。

 筆者は自分の著書や自分のかかわった書籍を機会あるごとにゆかりの神社へ奉納することにしているのだが、ある神社に『日本国紀』を奉納した記事に対しては「バチ当たるぞ」「トンデモ本奉納されて神様も困るだろ」「今時がどんど焼きの時期なのでしょうか」「穢れるやんけ」などというコメントが立て続けに書き込まれた。

 文筆家の古谷経衡氏が言う「道徳自警団」の中でも質が悪い層であろうか。さらには坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎いとばかりに、「既に目が逝ってるね、こいつ」「大阪観光大学ってナニ?」などと、批判勢力の品性を疑わせるものもあった。

 そうしたツイッターアカウントの中で、『日本国紀』の皇室についての記述などについて「あなたも同じ主張か」とばかりに詰め寄ってくる方もいた。そこで筆者は、フェイスブックで次のように公開投稿を行った。

『日本国紀』へのインターネット上の一部匿名者による批判(とさえ言えぬような罵詈雑言)について御心配の声を頂きますので、念のために書きます。当然ですが当方は一切、「監修」にあたって後ろめたいことなどありません。私は500ページ超のゲラ全ページに目を通し、2週間かけてほぼ全ページにわたって歴史的な事実関係確認をはじめ意見具申をしました。もちろん容れられたところもそうでないところもあり、監修者や協力者はそれを甘受するものです。そのうえで、百田先生の著作として『日本国紀』を多くの方に読んでいただきたいと思っています。書籍の内容についての諸々の御指摘によって建設的な歴史論議が深まることは、著者にとっても望むところではないでしょうか。

 ところが残念なことに、本名も名乗らず氏素性も告げず、揚げ足とる気満々の文脈で「質問に答えろ」とか言ってくるツイッターユーザーがいたりするわけです。いちおう日々の仕事や原稿そして(有益な)情報収集に勤しんでいる研究者をつかまえて、コンナヒトタチに(←安倍首相調)時間をかけて対応せよと言うつもりでしょうか。万一「返信がないということは・・・」などと連鎖的に妄想してる方々がいるとすれば、歴史談議の前にまず頭を現実社会に戻していただければと思います。

 仮に所属・姓名を明示したうえで問い合わせがあれば、私個人の歴史観や史実認識についてお答えすることもあるでしょう。でも悪意あるコンナヒトタチが答えさせようとしているのは、明らかにそういうのではありませんよね?

 中には自分のオピニオンサイトらしきものを展開しているユーザーもいるのだが、少なくとも同様の絡み方をしてくる際に本名を名乗る人はそれ以降も現れていない。もちろん仮に匿名でなくとも、『日本国紀』の「間違い」を指摘しながら「あなたは本当にチェックしたんですか?」などと下衆の勘繰りを展開する手合いには付き合えるはずもないが。

 さて一方、『日本国紀』の内容についての実名による批判も出ている。ただ、同書の批判を含むものとしては最初に書籍化されたものと思(おぼ)しき『「アベ友」トンデモ列伝』(宝島社)も、「アベ友」作家だと決めつける基本コンセプトのもと、「百田尚樹『日本国紀』パクリ大検証!」と銘打っていながら、その検証素材は上記ツイッターユーザーのオピニオンサイトらしきものという点で問題にもならない。