オチアイユキ(ライター・編集者)

 今年も大みそかに『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)の年越し特番『絶対に笑ってはいけないトレジャーハンター24時!』が放送される。

 昔ほどの勢いはないとはいえ、やはり変わらず超高視聴率番組であり続ける『NHK紅白歌合戦』が独走し、民放各局が苦戦する中、同時間帯で民放ナンバーワンの視聴率を誇る人気番組として定着したのが、この『笑ってはいけないシリーズ』だ。

 では、なぜ『笑ってはいけないシリーズ』は紅白の裏番組首位となりうる人気を獲得したのだろうか? その人気の秘密をひも解いてみたい。

 まずはやはり、「笑ってはいけない」「笑ってしまったら罰ゲームとしてお尻を棒でたたかれる」という設定のシンプルさ、分かりやすさが挙げられるだろう。人は「笑ってはいけない」と思えば思うほど、「笑い」を意識してしまい、堪(こら)えるのが難しくなる。

 しかし、演者が常に「笑ってはいけない」と笑いを堪える状況にあるということは、裏を返せば、制作側は「常に笑わせようとする」演出を仕掛け続けることが必要となる。

 この「常に笑わせようとする」制作側と「笑ってはいけない」演者のせめぎ合い。そして、それを見る視聴者は「必死で笑いを堪えている人」を見て笑う、という二重構造の面白さが『笑ってはいけないシリーズ』の醍醐味(だいごみ)なのである。
日本テレビ提供
日本テレビ提供
 ただ、この「笑いだけを追求する」というシンプルかつストイックな姿勢がありながらも、バカバカしさやユルさ、さらには安心感すらあるのが『笑ってはいけないシリーズ』のすごいところだ。

 正直、「ストイックでエッジの効いた笑い」を6時間も続けて見せられるのはキツい。人は、面白いがある意味神経を使う(=疲れる)番組を長時間、しかも大みそかに見続けられるものではないのだ。

 そこで番組には、「エッジの効いた笑い」を織り交ぜながらも、ある種のユルさが必要となる。マンネリといえば聞こえは悪いが、毎年恒例お決まりの構成や展開に「待ってました!」となる楽しさや、途中から見てもすぐに入り込める分かりやすさなどが求められるのだ。これが安心感につながり、普段はダウンタウンの番組を見ないであろう年代の視聴者をも取り込む要素となっている。