2019年01月07日 12:03 公開

ドナルド・トランプ米大統領が昨年12月中旬に表明した米軍のシリア撤収について、ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は6日、撤収には一定の条件が満たされる必要があると述べ、撤退は直ちに実施するわけではないと示唆した。シリア北部でクルド人の安全確保についてトルコの確約を得る必要があると、訪問先のイスラエルで発言した。

イスラエルとトルコを歴訪中のボルトン氏は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談前に記者団に、「トルコが軍事行動をとるにあたり、最低限でも我が軍に危害を与えないようアメリカと完全に調整し、我々が合意しない行動は控えるべきだし、我々と共に戦ったシリア反政府勢力を危険にさらしてはならないという大統領の要求を満たさなくてはならない」と述べた。

ボルトン氏は、シリア撤収について期限が決まっているわけではないが、無期限に駐留を続けるわけではないと強調。さらに、トランプ氏は過激派勢力「イスラム国」(IS)の残党壊滅を求めていると述べた。

ネタニヤフ首相は、イランがシリアに何を意図しているか、ボルトン氏と話し合うつもりだと述べた。

トランプ大統領は5日、大統領公式別荘キャンプ・デイヴィッドへ向かう前に記者団に、「軍は引き上げる。でもすぐにやるとは一度も言っていない」、「シリアから撤収する。(中略)しかしISIS(ISの別称)がいなくなるまで、完全に引き上げたりしない」と述べていた。

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トランプ大統領は昨年12月19日、動画とともに、「ISIS(ISの別称)に対する歴史的勝利の後、偉大な若者たちを帰国させる時だ!」とツイートし、「全員がただちに帰国する」と宣言していた。

国際的な批判が高まる中、米政府関係者は米軍が30日以内にシリアを離れると説明していた。

トランプ氏の唐突な発表の直後、ジェイムズ・マティス国防長官と、対IS国際有志連合の調整役を務めたブレット・マガーク米大統領特使が相次ぎ辞任した。共に、大統領への抗議辞任とみられている。今月5日には、国防総省のケヴィン・スウィーニー長官首席補佐官が辞任を発表。トランプ氏のシリア撤退発表以来、国防総省幹部が辞任するのは3人目となった。

シリア北東部では、米軍と共に戦い、IS弱体化に大きく貢献したクルド人勢力「シリア民主軍」(SDF)が、トルコによる侵攻を懸念している。トルコ政府は、SDFの主要戦闘勢力「クルド人民防衛隊」(YPG)をテロ集団とみなしている。

トルコ大統領府のイブラヒム・カリン報道官は5日、トルコがクルド人を標的にしているという指摘は「非合理的だ」と反発。トルコが攻撃対象にしているのはYPGと、クルド民族のトルコからの独立を目指すクルディスタン労働者党(PKK)だと述べた。

シリアには約2000人規模の米軍がシリアに駐留しているとされるが、実数はそれを上回る可能性がある。

米軍地上部隊のシリア駐留は2015年9月に開始。ISと戦う地元クルド人勢力の軍事顧問として、オバマ政権が少人数の特殊部隊を送り込んだのがきっかけだった。それ以来、駐留米軍の規模は拡大し、シリア北東部にわたり複数の基地や飛行場からなる軍事行動のネットワークが整備された。

マイク・ポンペオ国務長官は8日から中東を歴訪し、トランプ政権の撤収方針についてシリア周辺の同盟諸国に説明して回る予定。


(英語記事 Syria conflict: Bolton says US withdrawal is conditional