同社は、これら低賃金労働者の存在に甘えて、株価の高騰や企業の成長を維持しているにすぎない。どれだけ株価高騰、企業価値の向上は経営陣の手腕だと言おうが、現場の労働者がいなければ生産や流通を担えないし、富は絶対に発生しない。古くはカール・マルクスが19世紀に大著『資本論』において喝破した内容である。

 このような背景があるからこそ、私たちは昨年12月31日に労働組合のメンバーとZOZO新習志野の倉庫付近で派遣労働者に対し、街宣活動を行った。そこでは、大量の派遣労働者が「ZOZOBASE」と書かれたバスでピストン輸送されて、工場の配送作業を支えていた。

 この街宣活動に至った理由は、私の元に派遣労働者から匿名で相談が寄せられたからでもある。相談は業務内容に比例して賃金があまりにも安いというものだ。正社員の賃金や待遇は一定程度担保されているが、派遣労働や非正規の現場は凄惨(せいさん)だというのである。

 彼女の訴えによれば、時給は3年間働いても1000円のままであり、責任をもって顧客の配送先である住所や名前など個人情報を扱うにしては低すぎるというものだ。これらの信ぴょう性を確認するための行動だった。

 新習志野で多くの派遣労働者と話をすることができた。前澤社長や田端氏は現場の倉庫には足を運んで派遣労働者の声を聞いていないことも理解できたし、匿名の彼女の訴えは真実だとも理解できた。実際に新習志野で話した20歳代前半男性の派遣労働者は「僕の時給は1000円です。個人情報を大量に管理していますし、この賃金では安いと思います。社長が1000億円もかけて月に行くというなら僕らの賃金を上げてもらいたいというのが正直なところです」と語った。
※画像は本文と関係ありません(GettyImages)
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 彼の職務内容を聞けば、責任ある正社員が行うべき業務を派遣労働者が低賃金で担っている。ZOZOのインターネットのサイトではこのような労働者の姿は見えてこない。しかし、皆さんのもとに届く注文品は、派遣労働者が低賃金で配送作業に関わっているものだ。安いものには誰かの犠牲が必ず生じている。注文する前にどのような工程で商品が届くのか、再度検討してみてほしい。

 それでもZOZOの田端氏は派遣労働者を酷使しているくせに、ツイッターなどで「過労死は自己責任」や「誰にでも出来る仕事の給料は上がらない」といった上から目線で労働者を蔑視する主張を繰り返してきている。