大宇グループを中心に財閥の解体が進み、社員を“名誉退職者”と呼びながら解雇が拡大していた。少ないながら退職金が入った中年男性は、家族に退職を告げることができず、スーツで家を出て、ソウル近郊の山に登り夕刻帰宅する山族がうまれ、麓でカバンとジャケットを預かる商売まで発生していた。

 しかし、よくできたもので韓国ウォンが急落したことで、韓国製品の国際競争力がさらに高まり、金大中政権末期には、すでに危機を完全に脱している。

 現在は、いわゆる徴用工問題で日韓二国間では大きな政治外交問題となっているが、韓国での長い経験を踏まえて穿った見方をしてみよう。

 そもそも朴正熙大統領暗殺以降、日韓関係が大きく悪化したのはいわゆる“教科書”問題がある。1980年代初めのころだ。その後、慰安婦問題が起きている。

 米国の短期金利は1980年当時20%にまで上昇し、中南米は経済危機となった。新興国から米国に安全な高金利をもとめて還流したからであろう。そして韓国経済はその影響をもろに受ける体質であるが、同時進行で日本批判が起きているのだ。

 今回も同じセオリーで語れないだろうか。すなわち、経済的に国民が圧迫感を感じ始めたところで、あれほど改善していた日韓で、徴用工問題をテーブルに乗せることで、多くの韓国民はナショナリズムに目覚めるだろう。日本側でも同様なことが起こる可能性はあるが当面それは忘れる。

 為政者として、三権分立している司法が下した結論であり、どうにもならないと答えるであろう。日韓条約を読めば解決済みであることは間違いない。加えて、3億ドルプラス2億ドルといえば当時の日本の国家予算の1割、現在でいえば10兆円規模の賠償金となる金額で補償問題込みの金額だ。実際、韓国政府も亡くなった人には金を払っているようだ。

 最高裁の判断なので、何らかの理由はあるだろうが、むしろ国民がこの判決で日本に批判の目が向くことで、米国の金利上昇で最初の影響を受ける国、韓国経済の不調から国民の関心をそらすための判決とも見える。

 定期的に訪れる経済不調から逃れることはできない。特に韓国は米国の短期金利と連動している。さすれば、国民の目をそらして危機をやり過ごすしかないのだ。

 その一方で韓国からは、年間に700万人以上が来日している。じつに国民の7人1人が毎年日本を訪問している勘定になる。嫌日でも親日でもないが知日派が多数生まれている。彼らが、真実を感じ始めている気配がある。