山岡鉄秀(AJCN代表)

 韓国海軍の駆逐艦から海上自衛隊のP1哨戒機に対し、火器管制レーダーを照射した問題は、2019年に入って収まるどころか、エスカレートする一方である。特に、韓国政府の発表した「反論動画」は素人目にもわかる拙劣なもので、「国家レベルでこんなものを作るのか」と日本人をあきれさせた。

 早速、日本の会員制交流サイト(SNS)では「こんなものを世界は信用しない」「韓国は恥を晒(さら)した」というような書き込みが殺到している。しかし、はっきり言って、このコメントには日本人の「悪い癖」が表れている。

 つまり、自分たち日本人の理解力や道徳観、民度などを「世界の常識」だと思い込み、国際社会にも期待してしまうことなのだ。だが、国際社会は、国連を含めて日本人が考えるよりずっと野蛮で、印象だけで動いてしまう軽薄な世界だ。

 今回、防衛省はレーダーの波形など、決定的となるデータを公表しなかった。何より軍事機密保護の観点からだろうが、その「武士の情(なさけ)」が国際社会では「弱さ」に映ってしまう。

 だから、韓国は「しめた、まだ抵抗できる。日本人は決定的なデータを公表する勇気はないだろう」と踏んで、「韓国船が漁船救助という人道的な活動をしているにもかかわらず、日本の哨戒機が超低空で威嚇してきた。悪いのは日本だ」という論法を持ち出してきた。そう、これはプロパガンダである。
2019年1月7日、元徴用工訴訟判決に関する安倍首相の発言などを報じた韓国各紙(共同)
2019年1月7日、元徴用工訴訟判決に関する安倍首相の発言などを報じた韓国各紙(共同)
 日本人の目には常軌を逸していると映っても、世界は「韓国があれほど自信を持って日本を非難するということは、韓国にも理があるのだろう」「日本に絶対の自信があり、全ての証拠をつかんでいれば、最初から公表したはずだ。日本にも落ち度があるのではないか?」と考えてしまうのである。

 もちろん、軍事の専門家は正しく判断する。しかし、韓国の狙いは国際世論に訴えることだ。だから、あのような稚拙な動画であっても、韓国側はSNSでせっせと拡散している。