
2019年01月10日 17:31 公開
ジェン・コープステーク、テクノロジー記者
1月8~11日に米ラスベガスで開かれている 世界最大級の家電見本市「Consumer Electronic Show(CES)」が、女性用バイブレーターの展示を拒否し、性差別だとして物議をかもしている。
開発メーカー「ローラ・ディカルロ」は、女性用バイブレーター「Ose」がCESでイノベーション賞を獲得した後、展示するよう招かれたと話しているい。
一方、CESを主催している米消費者技術教会(CTA)は誤ってOseを賞の対象に含めてしまったと説明。また、CTAには不道徳やわいせつな候補を取り消せると話した。
ローラ・ディカルロのローラ・ハドック最高経営責任者(CEO)は、CESとCTAには長年、性的偏見があると指摘した。
CTAは声明で、「この製品は我々の既存の製品カテゴリに当てはまらないため、(賞の候補として)受け入れるべきではなかった。こちらの間違いを謝罪する」と述べた。
これに対しローラ・ディカルロのハドックCEOは自社サイトで、Oseがノミネートされていたカテゴリには他の女性向けの製品があると指摘した。
「ロボット掃除機が2点、ロボット搭載のスケートボードが1点、子供向けの玩具が4点、買い物補助ロボットが1点――女性の関心事項がすべて網羅されているようです」
「Oseはロボット工学・ドローンのカテゴリに当てはまるし、これは審査員を務めたCTAの専門家も認めています」
ハドック氏によると「Ose」はオレゴン州立大学のロボット工学ラボとの提携で作られ、「ロボット工学とバイオミミクリー(生物の仕組みを技術開発に応用する試み)、エンジニアリング」で計8つの特許を取得しているという。
「女性やノンバイナリーの人、ジェンダー・ノンコンフォーミングの人、LGBTQIといった人々が、快感と技術の分野に大きな声を持つべきだと、我々は強く信じています」
(編注:ノンバイナリーは男性でも女性でもない「第三の性」を自認する人を、ジェンダー・ノンコンフォーミングは性別の表現が従来の文化的な規範に当てはまらない人を指す。LGBTQIはレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クイアー、インターセックスの頭文字で、性別や性自認、性志向の多様性を表す言葉。)
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ハドック氏は、CESの性製品に対する態度は、男性向けと女性向けで大きく異なると指摘している。
「男性の性欲は(CES内で)あらわにすることが許されています。たとえば非現実的な女性の形をしたセックスロボットや、仮想現実(VR)を使ったポルノなどです」
ハドック氏が指摘したのは、昨年のCESで発表されたセックスロボット「Harmony」と、2017年にCESで設置された、VRのポルノを見せる部屋のことだ。
VRポルノの展示室は、開幕初日だけで1000回以上、利用されたという。
今年のCESでは、アマゾンのスマートスピーカー「アマゾン・エコー」で操作できるポルノ動画を設置した合法の売春宿への非公式のシャトルバスが出ているという。
女性用バイブレーターが転じ拒否されたことを受け、ツイッターではユーザーが「#CESGenderBias (CESのジェンダーバイアス)」というハッシュタグで反応している。
このユーザーは、「どうしてCESは力強い女性と、女性に力を与える製品を怖いと思うの?」と皮肉った。
https://twitter.com/KatysTable/status/1082918323816464384
別のユーザーは、性製品だから賞を取り消したとするCESの説明に「女性用の性製品だからだめ!」と付け加え、「CES自体が男性用の大きな大人のおもちゃで、それはいつでもOKなんだ」と冗談を飛ばした。
https://twitter.com/sm/status/1082688113992847360