2019年01月18日 12:57 公開

ドナルド・トランプ米大統領は17日、連邦政府の部分閉鎖を理由に、野党・民主党幹部ナンシー・ペロシ下院議長のブリュッセルとアフガニスタンへの出張を直前で中止させた。議長と同行議員団が乗る予定だった米空軍機の使用を認めなかった。ペロシ議長は16日、政府閉鎖をめぐる与野党のこう着を理由に、大統領は議会への一般教書演説を延期すべきだと主張していた。

トランプ氏が議会に要求する南側国境の壁建設予算57億ドルを民主党が認めないことを理由に、トランプ氏は一部政府機関のつなぎ予算の承認を拒否。上院多数党の共和党は、大統領が支持しない法案は審議しない姿勢で、民主党が提出する妥協案の審議を拒否している。

このため昨年末に予算切れで始まった連邦政府閉鎖は27日目を迎え、米史上最長となっている。この間、連邦政府で働く80万人が無給で勤務を続けるか、無給で一時帰休状態に置かれている。

こうした中、トランプ氏を厳しく批判してきたペロシ下院議長は16日、大統領への書簡で、1月下旬が恒例となっている議会への一般教書演説を延期するよう呼びかけた。政府職員の多くが無給状態に置かれているなか、ホワイトハウスから議事堂までの沿道警備をはじめ、大統領演説によって「必要となる大変な対応」を現状で確保することは不可能だと、議長はその理由を示した。

トランプ氏はこの要請に直接回答していないが、支援者へのメールでは、米国民に語りかける機会への「招待を撤回された」と書いている。

ペロシ議長と議員団は翌17日午後にワシントンを出発する予定だったが、トランプ氏が米軍機の使用許可を取り消したため、視察旅行が中止になったことが出発の直前に明らかになった。フォックス・ニュースによると、同行予定だった議員団は、連邦議会前で米空軍バスに乗り込んだまま、議会、国務省、国防総省、ホワイトハウスのスタッフがそれぞれ慌てて対応しようとするなか、立ち往生していたという。

ホワイトハウスのサラ・サンダース大統領報道官が、ペロシ議長にあてた大統領の書簡をツイートした。

その中でトランプ氏は、「政府閉鎖のため、予定されていたブリュッセル、エジプト、アフガニスタンへの貴殿の旅行は延期された」、「政府閉鎖が終わった際に、旅行の予定を組み直す」と伝え、「アメリカの素晴らしい労働者80万人が給与を受け取れずにいる状態で、このPRイベントを延期するのは適切なことだと、賛成していただけると思う」と書いた。

https://twitter.com/PressSec/status/1085978219872964608


トランプ氏はさらに、「この間、貴殿はワシントンに留まり私と交渉し、政府閉鎖を終わらせるために国境警備強化運動に参加されたほうが良いと思う」と書いた。

加えて大統領は、もしペロシ議員が望むなら「民間旅客機」を使うのは自由だと付け足した。

これに対してペロシ議長のドリュー・ハミル副補佐官は、アフガニスタン視察が今回の海外出張の主要目的で、ブリュッセル立ち寄りはパイロット休憩に加え、北大西洋条約機構(NATO)幹部と会談し、アメリカはNATOに確実に関わっていくと念押しするためでもあったと説明した。ハミル氏によると、ペロシ議長たちにエジプト訪問の予定はなかった。さらに、政府閉鎖中にトランプ氏も共和党幹部も出張を重ねているとハミル氏は指摘した。

大統領の書簡公表まで、ペロシ議長のアフガニスタン訪問は発表されていなかった。

下院議長は大統領と副大統領に続き、大統領職の継承権を持つ。それだけに、議長が戦闘地域を訪れようとしていると大統領が明かしたことに、批判の声も出ている。

ホワイトハウスは17日午後、スイスで22日から開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダヴォス会議)への代表団派遣を取りやめると発表した。トランプ氏はこれ以前に欠席を発表していた。スティーヴン・ムニューシン財務長官を筆頭にした代表団が出席の予定だった。

下院民主党のステニー・ホイヤー院内総務は記者団に、トランプ氏の行動は「大統領の地位をおとしめるものだ」と批判した。一方で、トランプ氏支持者で共和党重鎮のリンジー・グレアム上院議員は、ペロシ議長が一般教書演説の中止を呼びかけたのは「無責任」で、これに対するトランプ氏の反応も「不適切」だと述べた。

(英語記事 Trump cancels Nancy Pelosi foreign trip citing shutdown