ツルシカズヒコ(フリーライター・編集者)

 『週刊SPA!』12月25日号の特集記事「ヤレる女子大学生RANKING」に対し、記事の撤回や謝罪を求める署名活動を呼び掛けた大学生の山本和奈さんら女性4人が1月14日に同誌を発行する扶桑社を訪れ、編集長や発行人など編集責任者とミーティングを行った。同日夜、テレビ朝日『報道ステーション』がトップニュースでこれを報道した。

 問題の本質を検証するためにミーティングを申し入れた女性4人、それに迅速に対応した同誌編集部。両者の対応は実に的確だった。しかし、『報道ステーション』が報じた編集長のコメントには強い違和感を持った。

 前向きで建設的な意見を頂戴して、改めて色々なことに気付かせて頂いた。性的なことにまつわる特集をする時に、どういった視点が必要なのか、山本さんらは外国に住んでいた経験から、我々には全くない視点があった。今後の誌面に反映していきたい。

 外国に住んだ経験がある、なしの問題ではない。世界では女性の人権がないがしろにされていることに対して、「#MeToo(私も)」ムーブメントが起きている。今回の『週刊SPA!』への抗議に賛同する署名が、年明け早々5万以上も集まったのは、こうした世界の潮流に多くの人が共感しているからだろう。雑誌編集者としてあまりにも鈍感な、いや時代が止まったままのコメントだ。

 世界経済フォーラム(WEF)が発表した「ジェンダー・ギャップ指数2018」によれば、日本は149カ国中110位。先進7カ国(G7)の中では最下位。抗議の声を上げた女性たちは、人間をモノのように扱うことを意味する「オブジェクティフィケーション(objectification)」という言葉を使い、人権問題として訴えている。

 私はかつて『週刊SPA!』の編集者だった。1988年の創刊から編集にかかわり、93年から95年には3代目編集長を務めた。当時の発行部数は30万部、実売28万部。95年新年合併号の発行部数は50万部。読者の3割は若い女性読者だった。私が同誌の編集部を去り、扶桑社を退社してから二十数年の時が経過した。現在の『週刊SPA!』はかつてのそれと似て非なるものである。
『週刊SPA!』が掲載した「ヤレる女子大学生RANKING」=一部画像処理しています
『週刊SPA!』が掲載した「ヤレる女子大学生RANKING」=一部画像処理しています
 『週刊SPA!』の問題の記事には、大学の実名が記されている。女子大学生たちが、この記事に抗議の声を上げたというニュースに接して、私はSNS(会員制交流サイト)でこう発言した。「週刊SPA!の編集人と発行人をぶん殴ってやりたい衝動にかられた」と。同誌編集部OBとして怒りが収まらなかった。かつて『週刊SPA!』に名コラムを連載していた映画史家・比較文学者の四方田犬彦氏も「ツルシさん、ぼくもショックでした」と書き込んでくれた。