――大学の実名入りという点では、10月23日号もひどかったね。そのときは?

渡部 同感でした。

――編集長に意見するという、行動に出なかったのはなぜ?

渡部 編集長にもあの記事には問題があるという、相当な自覚があったはずです。

――どういう自覚?

渡部 大学の実名を出すことへの。

――渋谷にあるC大学とか、実名を出さなければいい?

渡部 それも避けなければいけないと思っていました。主観でしかないもの、しかも未成年者が在籍する大学名を出したことに問題がありました。雑誌マーケットがここ十数年シュリンク(縮む・減る)し続けていて、なんとか部数を上げなければいけないという、無理がありました……。

――今、『週刊SPA!』の実売部数は?

渡部 5万部……それを切っているかもしれません。他メディア、特にウェブ・メディアに対抗して焦りがあり、感覚をまひ劣化させ、扇情的な記事がエスカレートしてしまいました。それは素直に認めなければいけないと思います。

――部数を落とさないために、会社経営陣からああいう記事もやむなし、掲載すべしという指示があったりもする?

渡部 それはないです。それは強く否定させていただきます。

――逆に社内でああいう記事にブレーキをかける動きは? 扶桑社は防衛省のオフィシャルマガジン『MAMORU』も出版し、扶桑社の関連会社である育鵬社は歴史や公民の教科書を出版しているわけだから。

渡部 私の主観的な見解ですが、苦々しく思っている社内の方はいると思います。それ以上のことは、私の職務外の領域なので話すことはできませんが。

――今、編集部員は何人?

渡部 35人ぐらいです。

――僕が編集長のころとだいたい同じだね。女性は?

渡部 3人。

――それは少なすぎるね。僕がやってたころは3割は女性編集者だった。それが今回の記事を生んだ一因では?。

渡部 それはツルシさんの判断に委ねるしかないです。

――今回の記事に女性編集者はかかわっている?

渡部 かかわっていませんが、フリーの女性ライターが1人かかわっています。

――読者ターゲットは?

渡部 今は45歳男性がコア・ターゲットです。

――僕がやってたころのコア・ターゲットは28歳の男女だったかな。話し合いに訪れた女子学生たちは、超からすれば子供の世代の年齢だね。彼女たちからも「こういう記事を目にしたら、自分の子供がどう思うか」という視点からの発言があったけど。

渡部 感性が劣化していたというしか、説明のしようがありません。
※画像は本文と関係ありません(GettyImages)
※画像は本文と関係ありません(GettyImages)
――感性とか感覚とかあいまいなものではなく、個人の尊厳や人権侵害に対する意識が明らかに欠落していた。人権にかかわる問題だという認識は?

渡部 あります……。

――モラルの劣化の長年の蓄積が、今回のことにつながったと僕は考えている。『週刊SPA!』に四半世紀もかかわり続けている超の責任は重いのでは?

渡部 それはツルシさんのクリティカル(批判的)な分析ということで。私自身にはそういう思いはありませんが。