――「大宅壮一文庫」(雑誌の専門図書館)で最近の『週刊SPA!』のバックナンバーにざっと目を通してきたんだけど、よくもまあ、ここまで変貌したものだなというある種の感慨を持ちました。大宅文庫で『週刊SPA!』を閲覧しているのが恥ずかしかった。『週刊SPA!』が扇情的な路線の急坂を転げ落ちていった分岐点は、いつごろだったんだろうか?

渡部 私にはその実感がありません。私にも責任があるといわれるのであれば、その評価は甘んじて受けます。

――編集部は会社から自由に雑誌をつくらせてもらっているというけれど、実売部数は僕が編集長のころの6分の1に落ち、部数が落ちないように扇情路線に走り、そして今回の抗議。自由につくらせた結果、編集部が勝手に暴走したというのでは、社会的責任を負っている会社としては、あまりに無責任ではないかと思う。4人の女性たちは、抗議の対象を編集部だけではなく、フジ・メディア・ホールディングスも含めているけれど、当然だと思う。社内には『新潮45』のように廃刊にするという意見は?

渡部 経営判断ですので……。私自身は廃刊はまったく考えていませんが。

――僕も廃刊という対処は最低最悪だと思う。廃刊によって、今回提起された問題が風化してしまうから。これは『週刊SPA!』のみならず、劣化の一途をたどる日本のメディア全体の問題だという視点でとらえないといけない。編集部OBとして長く続けてほしいとも思う。『週刊SPA!』は『週刊サンケイ』のリニューアル雑誌として創刊され、『週刊サンケイ』創刊(1952年)から数えると、その歴史は今年で68年。それを発展的に継承してほしい。女性たちの抗議を生かし、『週刊SPA!』は画期的なリニューアルを成し遂げた、そんな評価がされるような。

渡部 社会から大きな批判を浴びましたから、新方針を打ち出し、批判されないものをやっていくしかないです。雑誌の未来は誰にもわからないですけれど……。 

――僕だったら、話し合いに訪れた彼女たちも、まったく違和感なく読めるような雑誌にするかな、思い切って。それしか未来はないというか、雑誌業界の現状も含めて、僕は社会は不動の仕組みではなく、人間の働きかけによって変えられると僕は考えていますから。ところで、『週刊SPA!』の巻頭カラー連載は「みうらじゅん×リリー・フランキーのグラビアン魂」。僕が編集長のときには、ああいう巻頭カラー連載をもってくるという発想はなかった。禁じ手にしていた。雑誌が性を扱ってはいけないとはまったく思わないし、僕が『週刊SPA!』の編集者だったころも、性に関する多様な視点からの記事を掲載していたけど。あの連載が始まったとき、これでいいのかなという危惧を持っていたんだけど。超はどう思っている? 

渡部 それはツルシさんの主観ですよね。「グラビアン魂」は、現在の『週刊SPA!』が胸を張って誇れる連載だと僕は思っています。
『週刊SPA!』(扶桑社)2018年12月25日号
『週刊SPA!』(扶桑社)2018年12月25日号
 『週刊SPA!』12月25日号が出る前に、「ランキング」記事に違和感を持った超が、編集長に意見しなかったのはなぜか。彼はその理由を明確に答えなかった。残念だったが、十数年ぶりに会い、取材に応じてくれた彼には「お疲れの中、ありがとう」と言いたい。

 1月15日、『週刊SPA!』に「ゴーマニズム宣言」を連載している漫画家・小林よしのり氏が、自身のブログに「SPA!に抗議に来た女子大生は危険だ」というタイトルの持論を記した。こうした反響を含めて今後、SPA!編集部がどう対応していくのか。注目したい。

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