水島新太郎(同志社大学嘱託講師)

 誌名に「世相をスパッと斬る」などの意味を込めたとされる『週刊SPA!』(扶桑社)が、2018年12月25日号で「ヤレる女子大学生RANKING」を掲載し、物議を醸した。世相を斬り損ねたのか、思わぬ騒動に発展したこの問題について考えたい。

 同誌では「カリスマ女子大学生とセレブたちとのギャラ飲みを開催」と題した特集が組まれ、「ヤレる」(性交渉を持てる)可能性の高い女子大生の出身校が実名で記載され、髪形やメーク、服装などの特徴が事細かに紹介されている。

 この記事に不快感を持った女子大生たちは署名収集を目的としたサイト「Change.org」や、会員制交流サイト(SNS)で記事の内容に抗議し、想像を超える数の署名が寄せられ、世間を騒がせた。

 記事で使われている「ギャラ飲み」は、男性が女性に金銭的援助をする見返りに食事の席などに同席し、あわよくば性交渉を期待することを意味しているそうだが、記事に抗議している女子大生たちは何に対して憤慨しているのだろうか。

 言うまでもなく、彼女たちは、自分たちが金で簡単に体を許す女性であるかのように男性目線で一般化されたことに憤りを感じているのだ。今回の問題は、男女間におけるジェンダー観の違いを浮き彫りにした一例であるといえよう。

 周知の通り、当初『週刊SPA!』側は、記事に不適切な表現があったことを謝罪している。だが、表現による問題というよりは、読み手が書き手の組んだ企画、そこで使われている文章表現をどう受け取るかに深く関係した問題であるように思えてならない。

 くだけた表現が丁寧な表現に書き換えられるように、書き手の企画構成力、文章力で読み手の意識も大きく変わるだろうし、そこに説得力があれば普通では許されないようなことも見過ごされてしまうケースがある。

 説得力がなくとも、『週刊SPA!』がターゲットとする読者が主に男性であることを考えると、そこで語られる内容が男性読者のニーズに合ってさえいれば、彼らはそれを無条件に受け入れるだろう。また、当該記事が「女子大生」に的を絞る形で書かれている点を考えても、女子大生に該当しない女性たちの中には、男性との出会いに無縁な私には関係のない話だ、と他人事を決め込む者も少なからずいるはずだ。
※写真はイメージ(ゲッティ・イメージズ)
※写真はイメージ(ゲッティ・イメージズ)
 しかし、インターネットによる情報共有が一般化された今日、従来男性読者の間だけで共有されてきた話題も、それを読んだ人間がネットで内容を一言つぶやいただけで大多数の知るところとなり、内容によっては、今回のように大きな波紋を呼ぶ問題へと発展する。これは、個人が意見を発信することのできる現代のネット社会の良い面でもある。