河西邦剛(弁護士)

 新潟を拠点に活動するアイドルグループ「NGT48」のメンバー、山口真帆さんへの「暴行事件」について、新潟県の花角英世知事が16日の定例記者会見でコメントするなど、波紋が広がり続けています。

 一部報道では、グループ内の不仲説や「Z軍団」と呼ばれるアイドルファンのグループについてなど、さまざまな憶測が飛び交っています。その真偽については定かではありませんが、弁護士として芸能界の問題に数多く携わってきた経験から、やくざ的な手法を取る悪質なアイドルファンの実態と運営側が取り組むべき本質的な問題点について指摘したいと思います。

 ファンの中には「自分だけは特別な存在でいたい」という感情を強く持つファンもいます。この感情を実現する一歩目が、複数回握手会に行き、好きなメンバーに名前を覚えてもらうことです。この行動は「認知」と呼ばれたりします。

 そして、握手会などでアイドルに接触する回数をさらに重ね、中には自分だけが知っている情報というのを引き出そうとするファンもいます。ここまではファンの行動として許される範囲内でしょう。

 しかし、さらにアイドルに近づきたいと思うあまり、コンサート会場で出待ちしたり、自宅までついていったりするケースもあります。私が過去相談を受けたケースでは、プレゼントの中に衛星利用測位システム(GPS)が入っていたケースもありました。さらにゴミ袋をあさったりと完全にストーカーの域に入ってきます。

 ただ、アイドルにとって最も厄介なのは、個人のストーカー的ファンというよりグループで行動している「輩(やから)」のようなファンです。彼らは、あの手この手でアイドル側の情報を入手しようとします。
※画像は本文と関係ありません(GettyImages)
※画像は本文と関係ありません(GettyImages)
 特に彼らは、まだあまり人気ではないメンバーをターゲットにします。最初はファンとして頻繁に握手会に参加し、イベントでも熱のこもった応援をし、人気投票の際にはCDをたくさん買うことで手に入れた投票権を全力投入します。人気が出ることはもちろんアイドルの方もうれしいわけで、そのファンを次第に特別扱いするとともに、「そのファンに離れられたくない」と考えるようになります。

 そして例えば、帰宅時に出待ちをされていた際、アイドル側の内心はどうであれ、このようなファンを邪険にはできないわけです。そして次第に、プレゼントをもらう、連絡先を交換する、2人だけで会う、交際する、といった具合にどんどん関係を深めていくケースもあります。他にもツイッターのアカウントを握手会で伝え、ダイレクトメッセージ(DM)でやりとりをするというのも典型的なパターンです。