非核化交渉で進展を見るためには、トランプ大統領がまず一定の譲歩をするしかないが、トランプ大統領の立場がそれを許すか否かが問題だ。アメリカ議会の動向が影響するからだ。

 2回目の米朝首脳会談は、トランプ大統領の政治的計算によって、妥結できるか否かが決まると思うが、トランプ大統領も容易に金委員長に譲歩できないだろう。

 結果的に、非核化の交渉は困難を極めることが予想され、結果的には北朝鮮を「核保有国」として認めるか、決裂するかの二者選択に帰結されるのではないか。それを占う試金石が2回目の米朝首脳会談だが、スムーズにいくとは思えない。

 では、日本との関係はどうなるだろうか。金委員長は、周辺国家との関係を再構築する突破口として、まずは休戦協定を終戦協定とし、ひいては平和協定を結ぶことだが、実現するには南北だけでは無理なことは分かっている。そのためには中国の協力が必要だが、既に中国は北朝鮮にその際の立場を伝えているのではないかと思われる。

 新年の辞で金委員長は、韓国に対し、米韓合同軍事演習の中止のほか、戦略資産および高高度ミサイル防衛システム「THAAD」(サード)のような戦争装備に関する武器の持ち込み中止を求めたが、それは中国の立場を一部代弁しているものとみられる。

 さらに、休戦協定締結当事国との間で終戦協定を結ぶべきだという要求も突き付けているが、これも中国の意向を反映しているものとみるべきだ。

 要するに、金委員長は中国という後ろ盾との関係が最も大事だという認識を持っているのだろう。新年早々に中国を訪問したが、今年は中国との関係、特に経済面での関係改善に全力を挙げるはずだ。
北京の人民大会堂で歓迎式典に参加する金正恩委員長(右)と習近平国家主席=2019年1月8日(新華社=共同)
北京の人民大会堂で歓迎式典に参加する金正恩委員長(右)と習近平国家主席=2019年1月8日(新華社=共同)
 ただ、中国はアメリカと北朝鮮との間で二者択一を迫られており、中国の動きによっては北朝鮮問題で大きな転換(北朝鮮がやむを得ず中国の圧迫でアメリカの要求の一部を受容)をする可能性も否定できない。

 日本との関係は、非核化交渉、米朝関係の改善、南北経済交流の次に考慮すべき問題で優先順位から外れている。

 ただ、アメリカとの交渉が思う通り進まなかったり、決定的に破局を迎えそうになったりした際は日本との関係改善に動くのではないか。また、拉致問題や日朝国交問題を持ち出す可能性もある。いずれにせよ、日本との関係では、米朝の結果が見え始めたタイミングで動きを見せるはずだ。

■感情論を捨てれば見えてくる、日本「北非核化」負担のメリット
■金丸信「1兆円の約束」 日本が北朝鮮を支援する道理はない