ところで、実際に同社の製品が何らかの「怪しい動き」をすることは考えられるのだろうか。先日、筆者はネットテレビ「Abema Prime」に出演し、そこで実際に解体されたファーウェイのスマホを目にする機会があった。というのも、「スマホ分解のプロ」という専門家が番組の始まる前に実際に解体してファーウェイのスマホに「おかしなもの」が入っていないかを確認したのである。その結論は「余計なものは見つからなかった」というものだった。

 とはいえ、筆者は以前、ある欧米諸国の情報機関関係者から、政府系通信会社が市民に提供する機器にチップを埋め込む工作を担当していたという話を直接聞いたことがある。また、米政府も国外の要人に対して同様の工作を仕掛けていたことが明らかになっているし、中国が数年前に米IT企業が使うサーバーに製造過程でチップを埋め込んでいたという疑惑も、米メディアで大々的に報じられて物議を醸したばかりだ。

 もっとも、今はチップをわざわざ仕込むような時代ではない。「チップを使う」というやり方はいかにも古い工作という印象で、今もやっているとは考えづらい。今なら、電子機器のプログラムに後でアクセスできるような、いわゆるバックドア(裏口)を埋め込んでいたり、何らかのマルウェア(不正プログラム)を入れておいた方が手っ取り早いだろう。

 いずれにしても「ファーウェイ製品が怪しい」と見られてきたことは紛れもない事実だ。最近話を聞いた国際的大手企業の元サイバー担当者は、こんな発言をしていた。「2014年にオーストラリアの大手企業が会社のネットワークからファーウェイ製品を介して不正にデータが中国に送られていることに気がついたんです。それ以降、オーストラリアは政府関係機関や大手企業にファーウェイ機器を使わないよう非公式に通達していた」

 2018年8月にファーウェイとZTEを5Gインフラから排除したオーストラリアでは、2014年の時点で既に非公式にファーウェイ排除の方向に舵を切っていたという。
※写真はイメージです(GettyImages)
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 いずれにせよ、これまで各地で続いてきた動きからも分かる通り、ファーウェイをめぐる話はハイテク産業における中国のビジネス的な台頭を米国が押さえつけようとしている、という単純な話ではない。次世代の覇権と安全保障に深く関わる話である。それゆえに、米中両国は一歩も譲歩できない。少なくとも米国は今後も、引く構えをみせることはないだろう。

 今、欧州や南アジアなど世界中の国々がファーウェイとどう付き合っていくのか検討が行われている。5Gをめぐる米国vs中国の攻防は引き続き、世界を巻き込んで激化していくはずだ。

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