2019年01月25日 15:04 公開

エリザベス女王は24日、イギリス婦人会のサンドリンガム支部を訪問した際の発言で、国民に「共通点」を見出すよう求めた。さらに、互いに「異なる視点」を尊重するよう呼びかけた。

エリザベス女王は国家元首だが、政治問題については中立の立場を保っている。しかし、このメッセージはイギリスの欧州連合(EU)離脱をめぐる下院の紛糾に言及したものだとの見方が強い。

下院では今月15日、テリーザ・メイ首相がEUととりまとめた離脱協定が230票差で否決された。メイ首相が示した代替案は29日に採決される予定だが、3月29日の離脱日を目前に、与野党双方で議論が白熱している。

「異なる視点を尊重」

婦人会の100周年記念式典に出席したエリザベス女王は、「辛抱強さや友情を重視し、コミュニティーを大事にして、他人が何を必要としているか思いやること。こうしたことは何年も前に婦人会が設立された当時も今も、同じくらい大事なことです」と述べた。

「もちろん、世代が代わるごとに誰もが新しい困難と機会に直面します」

「現代らしい新しい答えを見つけるにも、私としてはすでに有効だと分かっている解決方法を好みます。たとえば互いを攻撃せず、異なる視点を尊重すること。一緒に共通点を見つけようとすること。そして全体像を見失わないことです」

BBCのニコラス・ウィッチェル王室担当編集委員は、女王のこの発言は間違いなくブレグジット(イギリスのEU離脱)に対する「メッセージ」だろうと指摘した。

「現在の政局へのコメントだと思われることを想定しないで、国家元首がこうした言い回しを使うとはとても思えない」とウィッチェル編集委員は解説する。

今回の発言は2018年12月のクリスマスにTV放送したあいさつとも関連するとみられる。

クリスマスのあいさつで女王は「どれほど深刻な違いがあっても、相手を尊重し、同じ人間として接することは常に、より良い理解への有効な一歩です」と語った。

アイルランドとの国境問題

首相の代替案に対する29日の下院採決を前に、下院議員はメイ首相の離脱協定に対する数々の修正案を提出している。

これには、離脱協定が合意に至る前にEUから離脱しないよう、離脱日を3月29日から延長する案も含まれている。

多くの議員は合意なしブレグジットは港や空港での混乱や企業活動への妨害を招く恐れがあると考えている。一方で、一部の離脱派議員は、合意なしブレグジットへの心配は過剰だと考え、合意なし離脱を支持している。

また、英・北アイルランドとアイルランドの国境に検問所を設置しないための「バックストップ(防御策)」に「期限」を設けるという修正案も提出されている。

イギリスもEUもアイルランド国境の開放を望んでいるものの、EU離脱派の議員は、いざバックストップが発動すると、今度はイギリスとして異論を挟む余地のないままEU法に永遠に縛られてしまうと指摘している。

そのほかのブレグジット関連の展開は以下の通り――。

  • アンバー・ラッド労働年金相は合意なしブレグジットを避けるため「努力」すると話した一方、合意なし離脱の場合は辞任する可能性を否定しなかった
  • EU加盟国は近く、合意なしブレグジットの対応策を協議する。一部の加盟国は、陸運業者や航空便についてはイギリスに配慮した権利を与えるべきだと主張している
  • 米投資会社ゴールドマン・サックスのデイヴィッド・ソロモン新最高経営責任者(CEO)は、「困難な」ブレグジットとなれば対英投資に影響が出ると発言した。航空機エアバスのトム・エンダーズCEOも、合意なしブレグジットは「大惨事」になるとしており、企業からの懸念が高まっている

(英語記事 Queen makes plea for 'common ground'