2019年01月28日 12:09 公開

第2次世界大戦中のナチス・ドイツによるユダヤ人などの大虐殺(ホロコースト)について、イギリスの成人の20人に1人が「起きなかった」と考え、12人に1人が「誇張されている」と考えていることが明らかになった。イギリスのホロコースト・メモリアル・デー・トラスト(HMDT)が2000人以上を対象に行った調査に調査した結果。

27日は国連が定める「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」に当たる。イギリスではロンドンでの追悼式典に加え、国内で1万1000件以上の関連イベントが行われた。

HMDTの調査では、回答者の45%がホロコーストの犠牲者数を知らないと述べたほか、ホロコーストで殺されたユダヤ人は200万人以下と答えた人が19%いた。実際の推計は600万人とされる。

「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」では、1994年にルワンダで起きた虐殺や、1970年代のカンボジアのポル・ポト政権による虐殺の犠牲者も追悼する。

テリーザ・メイ英首相はツイッターで手書きのメッセージを公表し、「ホロコーストで無残に殺された600万の魂を正しく表せる言葉などない。しかし我々は、今日の行いを通じてふさわしい追悼を捧げることができる」と、ホロコーストに思いを馳せてほしいと訴えた。

https://twitter.com/theresa_may/status/1089464179868790785


ロンドン・ウェストミンスターのエリザベス2世センターで開かれた追悼式典に参加した最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、「ホロコーストで犠牲となった数百万のユダヤ人や、その他の人々を追悼する。反ユダヤ主義やあらゆる人種差別が我々の社会を歪めることを許してはならない」と書いた。

https://twitter.com/jeremycorbyn/status/1089158894222483457


この式典には200人のホロコースト生存者も参加した。生存者により、600万人のユダヤ人犠牲者を模した6本のろうそくがともされた。

10代にアウシュヴィッツ強制収容所から生還し、その後イギリスに移り住んだレイチェル・リーヴァイさん(87)は、今のイギリスに見られる反ユダヤ主義を怖れていると話した。

「あらゆる階層の人が、また悪意を持ち始めている。どうしてなのか理解できない」

ナチス・ドイツの主な標的はユダヤ教の人々だったが、他にも同性愛者や少数民族、共産主義や労働組合推進者といった政敵、キリスト教の一派であるエホヴァの証人などもホロコーストの犠牲となった。

心の病を抱える人や身体障害者は計25万人、ロマは50万人が殺害された。

旧チェコスロヴァキアのテレージエンシュタット強制収容所から生き延びたスティーヴン・フランクさん(83)は、HMDTの調査結果について「非常に心配だ」と話した。

この強制収容所からは、93人の子どもが生還した。一方、オランダでユダヤ人をかくまう手伝いをしていたフランクさんの父親はアムステルダムで捕らえられ、1943年1月にポーランド・アウシュヴィッツ強制収容所のガス室で殺されたという。

現在は英ハートフォードシャーに住むフランクさんは、ホロコーストなど起きていないと信じている人の多さに「驚いた」と話した。

「私の経験から言うと、多くの人はホロコーストで何が起こったかきちんと理解していない。だからこそ、私は自分の身に起きたことを共有しようと頑張っている」

「ある講演で、ホロコーストなどなかったと言う人に会ったことがある。こうした否定や反ユダヤ主義と戦う唯一の武器は真実だ。私は何が起きたか、私が何を見て経験したかを話している」

フランクさんはさらに、「教育はとても大切だ。過去を無視すれば、歴史は繰り返されてしまう」と付け加えた。

HMDTのオリヴィア・マークス=ウォルドマン会長も調査結果について、「ホロコーストへの無知や否定までもがこんなに広がっているのはショッキングだ」と語った。

「この現代史の基本的な理解がなければ学ぶ機会もなくなる危険があり、究極的には違いを尊重できず、他者への敵意がはびこってしまう」

その上で、イギリスでのヘイトクライム(憎悪犯罪)の増加や、国際紛争における虐殺のリスクが高まっていることを考えると「のんきに構えてはいられない」と警告した。

ホロコースト教育基金のカレン・ポロック会長も、「ホロコーストの真実を疑う人が1人いるなら、たとえ1人でも多すぎる」と話した。

「ホロコーストは史上最悪の出来事のひとつだ。実際にあったことだと将来の世代が確実に知り、その証人になるよう、私たちが努力しなくてはならない」

(英語記事 One in 20 denies Holocaust took place