2019年01月29日 15:19 公開

ローラ・クンスバーグ、BBC政治編集長

イギリス下院はいよいよついに、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)についてどうしたいのか、明らかにしてくれるのだろうか。

やきもきするのは分かるが、期待しないほうがいい。

下院では29日夜(日本時間30日未明)、テリーザ・メイ首相が欧州連合(EU)とまとめた離脱協定の代替案が採決にかけられる。

同じくこの日に投票が行われる色々な修正案についても、私に限らず各方面からあれこれ聞こえていただろう。だが、どの修正案も可決される確証は全くない。

まず第一に、保守党議員の一部は、政府の協定から嫌な部分(そう、バックストップだ)を削除するのを条件に、歩み寄る姿勢を見せている。こうした議員の多くは、保守党のサー・グレアム・ブレイディーによる修正案(国境検問所を回避するための別案)を支持することで、意思表示している。

バックストップは、北アイルランドとアイルランドの国境に厳格な検問所等を設置しないための措置だ。離脱協定が定めるブレグジット移行期間が終わる2020年12月までに別の解決策が決まらなければ、北アイルランドはEU単一市場の一部ルールに従うという取り決めだ。これには、多くの議員が反対している。

ブレイディー議員の修正案が通った場合、首相は理論上は、EUへ戻って「じゃーん! 見て! 離脱協定からこの厄介なバックストップを削れば、議会を通せそう!」と報告できる。そうすれば、もしかしたら事態は前進するかもしれない。もっとも、アイルランド政府はバックストップ撤回はあり得ないと強硬に警告しているのだが。

しかし私には、EU離脱派の議員たちがまとまり、決め手となるような形でメイ首相の協定支持に回るとは思えない。

<関連記事>

保守党内では、メイ首相に首相としての修正案提示を求める声もある。首相自身がいったいどういうブレグジットを求めているのか、明らかにすべきだと。そうしない限り、首相は同じこう着状態から脱出できないかもしれない。

29日が終わる頃には、票読みの数字がどうなっているか、よりはっきりするはずだ。

保守党のEU離脱派、イアン・ダンカン・スミス議員は、「メイ政権は今こそ、交渉で何を達成したいのかを示す、政府としての修正案を出すべきだ。首相は議会の支持を得るため、自分の交渉意図を明確にすべき段階だ。議員修正案や政府の目配せでは不十分で、明確性と目的が必要だ」と話している。

言い換えれば、EUにバックストップの変更を求めるつもりだと首相がはっきり言えば、協力者は現れる。しかしそうしないなら、離脱派が急に首相支持に回るなど期待しない方がいい。首相には離脱派の票が必要なのだが。

しかし政府は、これ以外にもジレンマを抱えている。もしメイ政権がブレイディー修正案の採決を阻止しようとすれば、それ自体に議員たちが反発する可能性もある。

その一方で、政府が合意なしブレグジットに突進しないよう、政府を阻止する権限を作り出し掌握しようとする議員たちもいる。

その最たるものが労働党のイヴェット・クーパー議員の提案だ。これは政府が2月末までにブレグジットの見通しを立てられなかった場合、EU離脱交渉の役割を政府から議会に移管するというもので、実現すればその影響は非常に大きなものとなる。

ただしこれは、労働党幹部の支持がなければ通過する見込みは少ない。

もっとも、党幹部は合意なしブレグジットの可能性を排除することを最重視しているので、クーパー案もそれなりに支持してきた。

しかし、ブレグジットを年末まで延期することの是非については、労働党幹部の間にもためらいはある。そして実際問題、クーパー案を支持するよう党議拘束でもしようものなら、保守党のように党内からの造反に直面するだろう。

この点についてもやはり、29日の夜にはどのように決着がついたのかが分かるだろう。

議会にブレグジットの霧がかかっているように見えるのも無理はない。しかし29日夜に投票結果を見るまでは、議会のブレグジット方針が明確になることはなさそうだ(残念!)。

(英語記事 Is Parliament's Brexit fog about to clear?