2019年01月31日 13:26 公開

アメリカ中西部が大寒波に見舞われ、多くの市町村が機能停止状態に陥り、寒さに震え上がっている。北極からの旋風「極渦(きょくうず)」による記録的大寒波の直撃によるもので、これまでに少なくとも7人の死亡が確認されている。

「極渦」とは、北極上空の急激な気温上昇がもたらす現象で、この影響で各地の気温は氷点下を大幅に下回っている。

イリノイ州シカゴでは、南極よりも低い零下30度を記録したほか、ノースダコタ州でも摂氏マイナス37度を記録している。

この大寒波の影響を受けるアメリカ人は2億5000万人に上り、9000万人が零下17度以下を経験すると予想されている。 

今後の気象予報は?

五大湖地方からニューイングランド地方にかけての一帯では30日終日、降雪の見通し。ウィスコンシン州では約60センチ、イリノイ州では約15センチの積雪が見込まれる。

ウィスコンシン州中西部、ミシガン州、イリノイ州に加えて、通常は温暖な南部アラバマ州とミシシッピ州でも非常事態宣言が発令されている。

イリノイ州の米国立気象局(NWS)の気象学者、リッキー・カストロ氏は「今回の大寒波はこれまでの観測史上最悪になる可能性がある」と指摘した。

NWSは、この厳しい寒さの中で外にいた場合、10分もしないで凍傷になる恐れがあると警告している。

ノースダコタ州グランドフォークスでの体感温度は30日の朝の時点で、零下54度にまで低下している。

今週末までに、米本土で暮らす2000万人が零下28度以下を経験すると予想されている。

7人が犠牲に

28日には、75歳男性が除雪車に巻き込まれて死亡した。WGN9によると、事故原因の捜査中、除雪車の運転手は有給休暇で現場を離れた。

翌29日には、ウィスコンシン州ミルウォーキーの車庫で55歳の男性が凍死した。地元メディアによると、監察医務院は「雪かきをした後に倒れたようだ」と判断した。

AP通信によると、ミシガン州では30日、自宅近くで2人が死亡した状態で発見された。当局は、恐らく1人が取り乱し、適切な服装ではないにも関わらず屋外に出たのではないかと話した。

イリノイ州ピーキンでは、82歳の男性が自宅の外で低体温症のため死亡したとNBCが伝えているほか、インディアナ州北部では、路面凍結による事故で若い男女が死亡した。

日常生活への影響

米国郵便公社(USPS)は、グレートプレーンズと呼ばれるロッキー山脈の東側に広がる地域と中西部の10州の一部での郵便配達の停止を発表している。

該当地域にある数百の学校や大学などの教育機関も休校となっている。

ウィスコンシン州のビール配達にも影響が出ている。ビールの醸造者は、配達中のトラックの中でビールが凍ってしまうことを懸念している。

アイオワ州の気象当局は、外出する際には「深呼吸は控え、会話も最小限に留める」よう警告している。

中西部の農家では、鶏用のイグルーをつくるなど、家畜を保護するための対策を講じている。

ノースダコタ州の畜産農家、ジョーイ・マイヤーズさんとスコット・ベイリーさんは、ロイター通信の取材に対し、大寒波が続く間は、家畜が死なないように家畜と一緒に過ごすつもりだと話した。2人によると、この厳しい気候の影響で、妊娠中の牛が早産する可能性があるものの、この気候では子牛は助からないという。

動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」は、ペットを屋内に入れるよう警告している。

一方で、イリノイ州マクリーン郡の警察は、この大寒波を楽しんでいる。ディズニー映画「アナと雪の女王」のエルサが逮捕されたとの一報をフェイスブックに投稿した。

「注目:この『極端に寒い』天候を受けて、すべての犯罪行為および馬鹿げた行為や愚かさを取り消すこととする。 エルサでさえも、別途通知があるまで、『保釈金なし』で収監される。この件について、ご清聴ありがとうございました。敬具 マクリーン警察」

https://www.facebook.com/930505990434093/photos/a.930541640430528/1248338165317539/?type=3&theater

シカゴの現状

アメリカ第3の都市、シカゴの住民は寒さには慣れているものの、当局は異常に危険な凍結が予想されると警告した。

同市は、2つの主要空港からの1​​500以上の便の欠航を決め、鉄道事業者の編むトラックは列車の運行を停止した。

「風の街」と呼ばれるシカゴでの体感温度は、ミシガン湖を吹きぬける氷のような風の影響で、零下45度程度だ。

シカゴのラーム・エマニュエル市長は、可能な限り外出しないよう市民に促した。

推定8万人の路上生活者のために、避難施設が数十箇所開設されている。

しかし、少なくとも1人のホームレス男性は、それでも屋外にいるつもりだと話している。

トニー・ニーリーさんは米紙ニューヨーク・タイムズに対し、「ダニがいるので、自分たちはシェルターに行きたくない。物を盗まれるし。シェルターでは眠ることもできないから、私たちは行かない」と話した。

リンカーンパーク動物園、フィールド自然史博物館、シカゴ美術館などのイリノイ州のランドマークはすべて閉鎖されている。

いくつものコーヒーショップや地元企業、そして地元で有名なピザ店「ディープ・ディッシュ・ピザ」さえも休業に追い込まれている。

シカゴ市警によると、警察官が着用しているコート、特に約12万円のカナダグースのジャケットを盗む人たちがいると話した。

(英語記事 Deadly polar vortex hits swathes of US