2019年02月01日 12:55 公開

ローラ・クンスバーグ、BBC政治編集長

新しいアイディアを大勢で探す。そういう作業になるはずだ。

イギリスの欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)はのっぴきならないことになっている。その困った状態を、もしかしてもしかすると、一気に解決できる魔法のような解決策を求めて。たとえるなら、くたびれ果てた巡礼者がついに聖杯を発見してその場に倒れ付し、なんと比類なき宝だ、これぞ世界を一変させるものだ、ついに手にしたぞ、この果敢なる我が手に……と叫ぶとか、そういう感じで。

そして交渉担当者たちは、技術的な解決策をあらためて探すはずだ。それは、アイルランド国境の管理法をめぐる技術的な方策かもしれないし、あるいは全当事者を納得させるよう構築された数段落の法的文言かもしれない。

そしてもちろん、今から2週間の間に政府は(そしてロンドン・ウェストミンスターの英議会とブリュッセルのEU本部も)、アイルランドと英・北アイルランドの国境の取り扱いをめぐる「バックストップ」の問題を解決するため、他の方法を懸命に探すことになる。

しかしながら根本的なことを言えば、目の前にある問題は変わっていない。この国の政治家はもう2年以上、ただひたすら、同じ問題を見つめてきたのだ。

国境問題をどう「解決」すればいいのか、何度も大騒ぎしてきた。その中で数カ月前に政府関係者に言われたことを思い出す。結局のところ、使う単語はこれまでと同じで、単語の順番を並べ替えるくらいしか、打つ手はないのだと。

今後2週間の作業はもう少し複雑なものになるだろうが、よく言われる通りなのかもしれない。「まったく真新しいオリジナルなアイディアなどないのだ」と。

同じ約束を別の表現で言い換えるなど、そういうことはできるかもしれない。しかし、誰も思いついたことのないような、まったく新しい大胆な解決方法? あまり期待しない方がいい。

時間の力

最もシンプルに突き詰めれば、状況は何も変わっていない。

イギリスはEU離脱に向かって突き進んでいる。そうなれば、アイルランド島内に走る国境は、巨大な自由貿易圏と個別の国を区切る境界になる。

アイルランドと北アイルランドの間に通常の国境のようなものは望まないと、誰もが言う。しかし、どうやったらそれが避けられるのかについては、誰も合意できない。

確実に変わるものはたった一つ。時間の力だ。

見当はずれな期待かもしれないが、それでもイギリス側は時間の力に期待している。解決方法のないまま残された時間がどんどん減っていくにつれて、イギリスが何の合意もなしにEUを離脱する展望が濃厚になり、恐怖が高まれば、いよいよ人は結束するのではないかと。

迫り来る締め切りのプレッシャーは、政治駆け引きも動かすかもしれない。

メイ首相がのるかそるかは、EU首脳がどれだけ最悪の事態を回避したいかにかかっているからだ。

首相がどこまで大胆に、あるいはタフになるか。それはブレグジット実現のため、どれだけ政治力を発揮する用意があるのかによって決まる。

そして、EU加盟各国の首脳が少しでも柔軟に応じるかどうかはもちろん、EUの役割のほかに、各国の国内事情をもとにした計算によって決まる。

にらみ合いの最終決戦

もちろん技術的・法的な規則や合意は、極めて重要だ。

しかし、政策や前例の中に簡単な解決方法があるのなら、それはもうとっくに見つかっていたのではないか。

事態はにらみ合いの最終決戦にさしかかったような感じがする。最初に目をそらすのは誰か。それを決めるのは政策ではなく、政治力になるのだろう。

メイ首相にとっては今までどおり大変な決戦だ。1対27のにらみ合いなので。

(英語記事 Brexit: A staring match of one against 27