2019年02月05日 13:28 公開

経済危機と政情不安で揺れる南米ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領(56)は3日、この政治危機が内戦を引き起こす可能性があると警告したが、野党代表フアン・グアイド国会議長(35)はこれを「でっち上げ」だと一蹴した。先月23日にグアイド氏が暫定大統領への就任を宣言して以降、マドゥロ氏率いる左派政権と反対派との間で権力争いが続いている。

グアイド氏については、アメリカをはじめ20カ国以上が暫定大統領として承認している。

マドゥロ氏は、戦争が起きるかどうかは、米国とその友好国の「狂気」次第だと話した。

一方で、このマドゥロ発言について、グアイド氏は内戦の可能性などマドゥロ氏の「でっち上げ」だと切り捨てた。

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マドゥロ氏への圧力は次第に増している。4日には、欧州連合(EU)加盟国の半数以上がグアイド氏を暫定大統領として承認すると表明した。

これに先立ち、フランス、イギリス、ドイツおよびスペインを含む複数のヨーロッパ諸国はマドゥロ氏に対し、大統領選を実施しない場合はグアイド氏を大統領として承認すると警告。やり直し選挙の受け入れ期限を3日に設定していた。

一方のマドゥロ氏は、自分は今もヴェネズエラの合法的な大統領だと主張し、大統領選のやり直しを拒否していた。

マドゥロ大統領は昨年、多くの野党候補が投獄されたり、選挙をボイコットしたりする状況で再選され、今年1月に2期目就任を宣言した。

その後、グアイド氏が暫定大統領への就任を宣誓した。

グアイド氏は、マドゥロ大統領の2期目就任が違法だと判断されれば、自分は憲法上、大統領権限を一時的に掌握する資格があると主張している。

内戦の可能性は?

マドゥロ大統領は3日、スペインのテレビ局ラ・セスタのインタビューに応じた。

ヴェネズエラの政情不安が内戦を引き起こす可能性について問われると、マドゥロ氏は「誰も確実なことは答えられない」と述べた。

さらに同氏は、「全ては北の帝国(アメリカ)、そしてその友好国の狂気と攻撃性の程度次第だ」、「我々の内政問題に誰も介入しないよう求める。(中略)我々は国を守るため準備する」と続けた。

ドナルド・トランプ米大統領は3日放送の米CBSインタビューで、軍事介入も「選択肢の1つ」だと語っていた。

しかし、グアイド氏は4日の演説で、「ヴェネズエラで内戦が起きる可能性はない。マドゥロ氏のでっち上げだ」と述べた。

同氏はさらに、マドゥロ政権が最大約1720億円相当の政府資金をウルグアイに移そうとしていると非難したが、証拠は提示しなかった。

各国の立場は

少なくとも17のEU加盟国がグアイド氏を暫定大統領として承認すると正式に表明した。表明した国の多くは、マドゥロ氏に大統領選のやり直しを要請する声明を発表した。

ギリシャやアイルランドを含む残りのEU加盟国は、大統領選のやり直しは求めているものの、グアイド氏を暫定大統領として承認するまでには至っていない。

マドゥロ氏は影響力のある友好国、とりわけ中国やロシアの支持を得ている。中国やロシアは、EU諸国がヴェネズエラの問題に干渉し「権力簒奪(さんだつ)を正当化」しようとしていると非難している。

マドゥロ大統領の政権維持には軍が不可欠で、ヴェネズエラ軍は今も大統領を支持していりう。

ヴェネズエラ国民に支援物資を届けようとするグアイド氏は演説で、援助物資が国境に到達した時点でヴェネズエラ軍は「重要な選択に直面する」と述べた。

AFP通信によると、14 日に米ワシントンで開催される国際会議で、グアイド氏側の代理人がヴェネズエラ国内への支援物資の運搬に関する緊急協議を主催するという。

一方でマドゥロ氏は、軍事介入の口実だとして支援の受け入れを拒否している。

混乱の背景

ウーゴ・チャヴェス前大統領の死後、2013年に後継として就任したマドゥロ氏については、人権侵害と経済失策への非難が続いている。

食糧や医薬品など生活必需品の深刻な品不足が続くヴェネズエラは昨年、物価が平均19日ごとに倍増するハイパーインフレに見舞われた。

こうした状況で国民の多くは、近隣諸国へ避難することで、情勢に抗議している。

国連統計によると、深刻な経済危機に陥り始めた2014年以来、約300万人がヴェネズエラを脱出した。

<解説> まとまらないEU――ギャヴィン・リー、BBC欧州担当記者

EUは通常、特定の政府を承認するか否かについて、EUとしては判断を示さない。

これまでのところEU内では、イギリス、フランス、ドイツ、スペインの個別政府が協調し、全EU加盟国が歩調を揃えるよう各国に働きかけてきた。

EUでは現在、28加盟国の半数以上が暫定大統領としてグアイド氏を承認した。

残りの加盟国は、暫定大統領就任を自ら宣言した指導者の承認について、前例作りになることを懸念し、慎重になっている。

イタリアでは、連立政権に参加するポピュリスト政党「五つ星運動」の幹部が、ヴェネズエラの問題は「EUが他国に何をすべきか指示すること」ではないと言明。政権内の意見が割れたため、EUとしてのまとまった対応を支持する可能性は低い。

(英語記事 Venezuela civil war threat 'an invention'