渋井哲也(フリーライター)

 今年1月、東京都立町田総合高校で生活指導を担当する50代の男性教諭が1年の男子生徒を殴り、その場面をスマートフォンで撮影した動画が会員制交流サイト(SNS)で拡散し、炎上騒動となった。当初、体罰部分を中心とした約20秒間がツイッターでもアップされ、テレビなどでも報道されたことで、大きな注目を集めた。

 しかしその後、「ツイッターで炎上させようぜ」という音声の入った1分15秒ほどの動画もアップされ、事態は思わぬ方向へ動いた。そう、最初に炎上した動画は編集されたものだったのである。

 動画の内容を丁寧に確認すると、確かに生徒が教諭に「うるせーんだよ、おらー」「これだけ言われても俺がキレないとでも思ってるのかよ」「お前の小さい脳みそで考えろ」「出て行けとか、何様だよ」などと挑発とも取れるような言葉を投げかけている。それに対して、教諭は「いい加減に外せって話だよ」などと答えている。

 奥の方では、別の教職員と思われる男性が2人の様子を見ている。その男性がいなくなった後、挑発された教諭の右ストレートが生徒の顔に当たった。さらに、教諭は「てめぇ、このやろー」と生徒を引きずり、別の生徒たちもやってきて「先生、それはよくないっス」と止めようとするが、「やかましい」と聞き入れない…。

 今回の問題では、後に流出した「未編集」動画を見たネットユーザーや一部の識者から、教諭に同情する声が上がった。しかし、学校は当初から「体罰をした教師が悪かった」と一貫して教諭の非を認めた。しかも、事件の30分後には、都教委に問題を報告していたのである。普段の指導内容によっては、学校側が教諭を擁護する可能性も考えられたが、いわば学校側は「暴力教師」として、この教諭を世間にさらす形を取ったわけである。

 『週刊女性』に校長がコメントした内容によると、当該生徒が怒ったのは、自分がいないところで別の生徒に向かって生徒を中傷したからだったという。授業が始まったときに、生徒がそのことを持ち出して詰め寄り、廊下であのような事態が起きた。校長は「カッとなって体罰に及んだ。原因を作り、結果を含めて、やはり先生が悪い」と答え、生徒に非がなかったという認識をここでも示した。

 ただ、筆者は別の面を指摘したい。それは、今の学校生活の中で教師が常に「衆人環視」の下に置かれている、ということだ。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 文部科学省は2009年、都道府県教育委員会に対して、携帯電話は学校の教育活動に直接必要がないとして、小・中学生に対して学校への持ち込みを原則禁止した。また、高校生にも授業中の使用を禁止したり、学校内での使用を一律に禁止するなど、実情に合わせて携帯電話の使用を制限すべき、と通知している。

 しかし、現実には、学校への持ち込みを認める学校が増えている。