情報端末専門の調査会社、MMD研究所が18年4月に実施した「中高生の学校のIT利用状況調査」によると、学校へのスマホ持ち込み許可は条件付きを含め、中学生は21・6%で、高校生は84・3%に達した。許可されていると回答した中高生のうち、持ち込みで決められているルールとして、中学生で最も多いのは「学校や先生に携帯所持の許可申請をする」で49・6%と約半数に上っている。ただし、高校生は約15%弱で、本人の自由意思に任されている言えよう。

 一方、高校生の持ち込みルールでは「授業中は電源を切ってカバンやロッカーにしまう」がトップで69・2%。約4割(37・4%)の中学生を含め、基本的には生徒が自主的に保管することが前提となっている。「登下校のみ使用可能」という中学生は40・0%、高校生も30・0%にとどまり、校内でのスマホ所持や使用が進んでいる現状が明らかになった。

 筆者が東日本大震災の取材をして改めて感じたが、生徒が携帯やスマホを所持することは、非常事態の家族間の連絡手段として欠かせないのである。学校にいるときだけではなく、登下校中の確認には必須アイテムであり、安心安全以外でも役に立つことになり得るからである。実際、大阪府は大阪北部地震の発生後、災害や不審者対策を念頭に、校内での携帯電話使用に関するガイドラインを作成し、19年度にも持ち込みを解禁する方針だ。

 このような中で、町田総合高以外でも動画による「告発」が相次いでいる。最近では、選抜高校野球大会の出場を決めた私立松山聖陵高(松山市)の野球部監督が、部員に体罰を行う動画が公開されていることが明らかになった。

 選抜出場が決まった当夜に野球部の生徒によって「これが甲子園に出場するチームを導く監督のあるべき姿でしょうか? #拡散希望」とのコメントつきで、ツイッターに投稿されたとみられている。校長は「暴力ではなく、指導の一環」と体罰を否定した。

 18年11月には、名古屋経済大高蔵高(名古屋市瑞穂区)の野球部で起きた体罰動画が投稿された。練習後に監督が、1、2年の複数部員に対して殴る蹴るの暴行を加え、うち3人の顔が腫れるなどのけがを負ったという。学校側の説明では「野球部で定めている携帯電話の使用ルールが徹底されていない」というのが理由だったらしい。

2019年2月、部員への暴力で謹慎する監督の代わりに、選抜大会で指揮を執る松山聖陵の中本恭平コーチ
2019年2月、部員への暴力で謹慎する
監督の代わりに、選抜大会で指揮を執る
松山聖陵の中本恭平コーチ
 17年5月には、大阪府立今宮工科高(大阪市西成区)で男子バレーボール部の顧問の男性教諭が部員の生徒に繰り返しボールを当てる動画がネットに投稿され、体罰ではないかと物議を醸した。「私の指導力不足や焦り」と教諭は語り、「生徒の態度が今までに見たことがないくらい悪かった」とボールを当てた理由を明らかにした。

 このように、スマホの校内持ち込みを認めた段階でいつ誰がどんな動画や音声を残しているか、分からない状態が当たり前になっているのである。裏を返せば、教師がどんな発言や態度を取っても、常に「見られている」ということに他ならない。生徒の側に立てば、不適切な指導や体罰は簡単に告発できるツールとなり得るわけだ。

 動画や音声の存在で、何が「不適切」で何が「体罰」なのか。具体的に議論できる素地(そじ)が出来上がっていることを、学校側や教諭はもちろんのことだが、生徒たちも忘れてはならない。