メディアの中には当初、「宮内庁が婚約に至る早い段階からお相手の身辺調査を行っているから心配ない」と報じる記事が少なくなかった。そうした報道の影響なのか、一般国民の間にもそう理解している人々が多いのではなかろうか。確かに皇族には警察庁直属の皇宮警察が身辺警護のためにSPを配置している。しかし彼らの任務はあくまで皇族方を警護し、そのセキュリティーを確保することにとどまっている。一般の人々が想像しがちな身辺調査のような任務を帯びているわけではない。

 いわゆる皇室のお世話役である宮内庁もそうした役割を担っていない。宮内庁を直接的に規定している内閣府設置法や宮内庁法にもそうした任務について具体的な条文はうたわれてはいない。自由恋愛が当たり前のこの時代に、政府の一行政機関がいかに重要なこととはいえ、お相手である一般の民間人に対して歳費を割いてまで調査することなど憲法上許されることではない。

 そもそも宮家と宮内庁の宮務課の間で女性皇族の婚姻に向けた身辺調査をめぐり協議がなされることはない。にわかに信じがたいと思う読者も少なくないかもしれないが、古びたイメージをもたれがちな宮内庁も今や通常の政府機関と何ら異なるところはない。

 そうすると、今回のような不運な出来事から眞子さまをお守りできるのは、秋篠宮ご夫妻をおいて他にいないといっても過言ではない。憲法上、皇族には職業選択の自由や選挙権、被選挙権など基本的人権が制約されている。しかし象徴天皇制度の下では、天皇や皇族は国民の敬慕やあこがれの対象であり、政治利用を回避するための制約はあっても、その他の面では意外と自由を享受されている。

 皇族も結婚や子育てなど自由の半面として、一般国民と同様の悩みを抱えられている。現に、秋篠宮家の教育方針も尊重され、皇族方お一人おひとりの自由も大幅に認められている。悠仁さまも学習院初等科ではなく、お茶の水女子大学付属小学校に入学、次女の佳子さまも学習院からICUに転校されている。皇室にあっても、時代とともに価値観の多様化が進んでいると言ってよかろう。したがって、今回のような不運な出会いは、起こるべくして起こったと言えなくもない。

 一方、小室氏のような内親王の配偶者にふさわしくない男性が今後も浮上する可能性も多分に残されている。小室家の教育方針や小室氏の考え方はよく分からないが、必ずしも経済力に見合わない進路を選択し、しかもそうした教育費の不足を母親の元婚約者の金銭支援に頼ったことがこうした不幸な結果を生み出した側面は大きい。
報道陣の取材に応じる小室圭さん=2017年5月17日、東京都中央区(桐原正道撮影)
報道陣の取材に応じる小室圭さん=2017年5月17日、東京都中央区(桐原正道撮影)
 一般に、金銭にルーズな人間は周囲から信頼されない。そのような男性が内親王の配偶者となることは避けられねばならない。渡米しニューヨーク州弁護士を目指してロースクールに通う小室氏にもさまざまな可能性があるとはいえ、現在の彼に将来皇位につかれる悠仁さまの義兄となる資格があるとはとても思えない。

 現在の皇室が抱える大きな不安には、皇族の減少がある。婚姻に伴い皇籍を離脱した内親王やその配偶者にも、その深刻さを共有し、現代の「藩屏(はんぺい、皇族の守護の意)」として外側から皇室を支援するだけの力量と覚悟が求められている。小室氏にはあまりに荷が勝ち過ぎてはいまいか。