片岡亮(ジャーナリスト)

 人気アイドルグループの嵐が、2020年12月31日をもってグループ活動を休止することを発表した。トップアイドルの決断に大きく時間を割いたワイドショーは、コメンテーターやタレントたちがこぞって、記者会見で出た「無責任じゃないかという声もある」という質問に噛みついた。だが、これほどのビッグニュースでこだわる一番のポイントが「記者の質問」というのは情けない話である。

 ファンも世間も、この話を聞いて真っ先に思うのは「なぜ活動休止するのか?」という疑問のはずだ。記者会見において、メディアは謎の真相に近づくために、取材対象者に対して、あの手この手の質問で探っていく。また、回答を上手に引き出すことができればできるほど、世論の需要に応えるものだと認識している。

 今回の当事者、嵐の5人は発表後すぐに記者会見を開き、質疑応答に対して丁寧に応じているから、本来であれば、彼らの回答が全てである。ただ、人気商売の芸能界では、真実が表に出にくいために「決断の裏に何があるか?」を探ることが重要になってくる。実際に取材を進めていくと三つのポイントが浮かび上がってきた。

 一部ファンの間では、以前から噂されていた「二宮和也と伊藤綾子の結婚」や「櫻井翔の政界進出」、「メンバー間の不仲」「ジャニーズ事務所との軋轢(あつれき)」などが休止の動機として飛び交った。筆者も、ジャニーズ事務所の人間や関係の深いテレビマン、ベテラン記者らに「5人が言えなかった話は何かないのか」と聞き回った。

 彼らの答えを総合すると、5人は2年近く前から時間をかけて話し合い、何とか話をまとめた「超円満解決」であったという。別に嵐や事務所に「忖度」したわけではないだろうが、「不仲」「結婚」といったキーワードは一切出てこなかった。

 「リーダーが矢面に立って、リーダーが悪者になって見えているのであれば、それはわれわれの力不足だと思います」

 それは、メンバー5人がそろった会見上で、あの「無責任」質問に対して二宮が答えたこの発言にも現れている。要するに、最年長38歳の大野智が「芸能活動を休止したい」と言い出したことに、他のメンバーが「大野のせいで嵐が活動休止になった」と思われてしまう可能性への懸念を共有していたことになる。これは会見前に関係者から聞いていた内容と一致する。
2019年1月、嵐の記者会見を待つ報道陣=東京・赤坂のジャニーズ事務所(戸加里真司撮影)
2019年1月、嵐の記者会見を待つ報道陣=東京・赤坂のジャニーズ事務所(戸加里真司撮影)
 「以前から大野クンは、ときどきアイドル活動を『辞めたい』と漏らすことがあった。デビュー直前にもそうだったし、5周年、10周年、15周年の前後もそういう話があった。恋愛ゴシップが出たときも『好きにできないならアイドルをやりたくない』と言い出した。それでも、周囲の説得に応じて思いとどまっていたので、17年6月に『事務所を辞める』と言い出したときも、いつもの『辞めたい病』かなと思った。本人は『自分のやりたいことを思う存分やりたい。3年ぐらいやれたらいいけど、そうもいかないから責任とって事務所も辞める』と今度こそ決意が固かった。そこでメンバーの中で出たのが『だったら3年間、グループを活動休止しよう。事務所も嵐も辞める必要なんてない』という逆提案だった。むしろ、大野クンは『そんな僕のワガママが許されるのか』と驚いたが、事務所とも話をして、2020年での休止を受け入れてもらった」