
2019年02月08日 17:03 公開
アレックス・セリーン、BBCニュース健康担当記者
「ワインの前にビールは爽快、ビールの前にワインは不快」と言うかどうかはともかく、色々な種類の酒を飲む「ちゃんぽん」飲みをするなら、まずは「とりあえずビール」にするのがいいのだと確信していた人は多いのではないか。
しかし、8日に米臨床栄養学会誌に掲載された研究によると、どの酒をどういう順番で飲むかは、二日酔いの軽い重いに関係しないのだという。
ドイツの研究者たちは、研究に志願した90人に様々な順番で酒を与えた。そして1週間後に、酒の順番を変えてまた飲んでもらった。
酔っている間の気分の良し悪しと、吐いたかどうかが、翌日の気分を最も的確に計る兆候になったという。
研究者たちは、飲んだ翌日にひどい二日酔いにならないためには、飲んでいる時のこうした危険信号に注意するべきだと勧めている。
「古くからの知恵」を試す
人にはそれぞれ独自の二日酔い対策があり、いざ二日酔いになってしまった場合の対応にも色々な流儀がある。
しかし、実際になぜ二日酔いになるのか、その正確な仕組みは驚くほど知られていないし、本当に有効な治療法も科学的にはまだ確立していない。
そのため、酒を飲む順番が翌朝に影響するという古くからの知恵を試すため、研究チームは19歳から40歳の志願者90人を3つのグループに分けた。
- 第1グループ: 最初にラガービール2.5パイント(約1400ミリリットル)を飲み、続いて白ワインを大きなグラスで4杯
- 第2グループ: 最初に白ワインを大きなグラスで4杯のみ、続いてラガービールを2.5パイント
- 第3グループ: ビールのみ、あるいは白ワインのみ (対照群)
1週間後には、今度は第1と第2グループの人たちが飲み方を交換し、第3グループの人たちは前回と違う種類の酒を飲んだ。
参加者は毎回、飲み終わった後の気分を質問され、翌朝まで医療者の監督下に置かれた。
その結果、どの酒をどの順番で飲んでも、二日酔いの程度には変化はなかった。二日酔いの軽い重いは、聞き取り調査から判定した。
二日酔い症状の重い軽いを、年齢や体重、飲酒習慣や二日酔いになる頻度から予測することもできなかったという。
ただし、男女差はあり、女性の方がわずかながら男性よりひどい二日酔いになりがちだった。
論文の筆頭著者、独ヴィッテン・ヘルデッケ大学のイェラン・ケフリンク氏は、「翌日どれほどひどい気分になるかは、飲んだ後の自分がどれだけ酔っていて気持ちが悪いと感じるか次第だ。翌日の気分を予測する唯一の信頼できる方法だ」と話す。
「早期警報システム」
二日酔いはあまり科学的に解明されていないが、原因には脱水や人間の免疫系、新陳代謝やホルモンが関係していると考えられる。
アルコール飲料に含まれる着色料や味付けも、二日酔いを悪化させることがある。特定の酒が特にひどい二日酔いの引き金になることがあるのは、そのためだ。
確かに二日酔いはつらい。しかし、二日酔いは役に立っているのだと専門家は言う。
今回の研究には関わっていない英サリー大学のボブ・パットン博士(臨床心理学)によると、二日酔いは「ライフスタイルの変化を促す自然の早期警報システム」だ。「放置してしまうと、心身に深刻な問題をもたらすおそれがある」。
二日酔いを防ぐには
いったんなってしまうと、魔法の治療法はない。しかし、水分をたくさんとるほか、鎮痛剤を飲んだり、糖分の多い食品を食べたりすると、気持ち悪さが和らぐかもしれない。
しかし、そもそも二日酔いにならないよう、なりにくくするための方法はいくつかある。もちろん、絶対的に効き目があるのは当然ながら、飲む量を減らすことだが。それ以外の方法はたとえば次の通り――。
- すきっ腹で飲まない
- 色の濃いアルコール飲料に自分が反応しやすいと分かったら飲まない(血管や脳の組織を刺激する化学物質が含まれているため、ひどい二日酔いの原因になり得る)
- アルコール飲料の合間に、水やソフトドリンク(炭酸以外)を飲む
- 寝る前に500~600ミリリットルの水を飲む
(出典:英国民健康サービス)
(英語記事 Beer before wine? It makes no difference to a hangover)