伝説的ロックバンド・クイーンのボーカリストであるフレディ・マーキュリーの生き様を描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』が大ヒット中だ。観客動員数180万人を記録(12月10日現在)。2016年公開の『シン・ゴジラ』に匹敵する驚異的な数字を叩き出している。

「クイーン」が、メインボーカルのフレディとギタリストのブライアン・メイ、ドラマーのロジャー・テイラー、そしてベーシストのジョン・ディーコンによって結成されたのは、1971年のこと。

 それまでにない独創性に富んだクイーンの出現は、衝撃的であり画期的なものだった。しかし、当初は英国でそうした音楽性に賛否両論が渦巻いたため、アルバムはそれほど売れず、初めから大成功したといえるわけではなかった。クイーンを何度も取材してきた音楽評論家の東郷かおる子さんが語る。

 「デビュー当初、薄化粧とフリルの衣装のせいで、すでにデヴィッド・ボウイらが確立していた“グラムロックの残りかす”というような言われ方をされました。つまり、時代遅れの感があったのです」

 むしろ、このバンドの優れた点を当初から評価していたのは、日本のファンだった。

2005年4月、クイーン初来日から30年を記念して新宿コマ劇場に設置された故フレディ・マーキュリーの記念像
2005年4月、クイーン初来日から
30年を記念して新宿コマ劇場に
設置された故フレディ・マーキュリーの記念像
 「インターネットがない時代ですから、日本には英国での評価や情報が入ってきませんでした。そして日本で音楽専門誌にクイーンのグラビアが掲載されたところ、今までの筋骨隆々な男たちがシャウトするハードロックとはまるで違って映ったのです」(東郷さん)

 一方の映画・音楽ジャーナリストの宇野維正さんはこんな指摘をする。

 「日本でクイーン人気に火がついたきっかけの1つは、少女漫画誌に彼らをモデルとしたキャラクターが出てくるようになったからなんです。それによって少女漫画ファンの文化圏と、洋楽ファンの距離が近くなり、女性人気がさらに高まったのです。

 その頃は男性ロックファンにとっては、あまりにも女性ファンが多いので、近寄りがたい雰囲気さえありました(笑い)」