篠原章(評論家、批評.COM主宰)

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移転先となる辺野古(同県名護市)埋め立ての賛否を問う県民投票が迷走の末、2月24日に行われる。

 この県民投票は、「シールズ琉球」のメンバーだった元山仁士郎氏が代表を務める「『辺野古』県民投票の会」が集めた請願署名に基づき、沖縄県議会が条例を制定して実施することになったものだ。

 当初は、保守系市長の宜野湾市、沖縄市、うるま市、石垣市、宮古島市の5市が不参加を表明し、全県での実施が危ぶまれていた。これらの5市は、「(辺野古)埋め立てに賛成か反対か」という二択の設問では民意を吸収しきれないことなどを根拠として、県から配分される投票事務にかかわる予算案を否決するというやり方によっていったん不参加を決めた。

 だが、沖縄県の謝花喜一郎副知事、新里米吉県会議長、県議会公明党などは、県民の3割超の人口を占める5市の市民が投票に参加できない事態を回避するため、「賛成」「反対」「どちらでもない」という三択の設問に差し替えることを提案した。

 これを受けて、県民投票に消極的だった県議会の自民党が妥協することになり、結局5市も参加に転じたが、県議会における三択案の議決の際には、過半数の自民県議が「反対」または「離席」という行動に出たことで、混迷を極めた。

 全県実施が決まるまでには紆余(うよ)曲折があった。玉城デニー知事や県政与党は、当初この提案に難色を示し、原案通り「二択」での実施を主張していたが、周囲の熱意に押される形で「三択」を受け入れることになったという。

 ところが、自民党県連は「三択」を受け入れる前、県議会で「仕切り直し」となる新条例の制定を求めたため、与党側が態度を硬化させていた。なんとしても県民投票を実施して「埋め立て反対」の民意を明らかにし、政府にこの民意を突きつけたい玉城知事や県政与党と、県民投票自体に消極的な自民党との溝は依然深い。

 そもそも、自民党は今回の条例を審議する県議会の場で、「賛成」「反対」の二択から成る原案に対して、「賛成」「反対」「やむを得ない」「どちらともいえない」という四択案を修正動議として提出し、採決で敗れたという経緯がある。
沖縄県民投票の告示日に那覇市内に掲げられたのぼり旗=2019年2月
沖縄県民投票の告示日に那覇市内に掲げられたのぼり旗=2019年2月
 今回登場した「三択」案は、「やむを得ない」だけを除いた両者の折衷案ともいえるから、自民党は三択案に合わせた条例修正に応じてもよかったはずだが、あえて「仕切り直し」という過大な要求を出すことによって事態を錯綜させた。 

 自民党が当初から「県民投票には反対」と主張していたのなら分かるが、四択案まで提出しておきながら、後になって「仕切り直し」を求めるのはやはり筋が通らないと言えるだろう。