結果的に県民投票は「辺野古移設」の賛否を「三択」で問うことになり、これは最善だと思う。だが、新たな問題に直面することになる。新たな問題とは、投票率の高低だ。1996年9月8日、大田昌秀知事の下で行われた「日米地位協定の見直し及び基地の整理縮小に関する県民投票」での投票率は59・53%で、うち89・09%の48万2538人が「基地の整理縮小に賛成」に投じた。これは当時の有権者総数の54・32%に相当する。有権者の過半数が基地の整理縮小に賛成したことになる。

 この時、「59・53%」という投票率をめぐってちょっとした議論が起こっている。沖縄県民の総意は基地の整理縮小にあるとするためには、当時の知事選や国政選挙で一般的だった70%程度の投票率が必要だといわれたのである。

 大田知事サイドでもこの数字を「敗北」と捉える人もいたが、有権者の過半数が整理縮小を訴えたことは大きな事実として残った。この前例を参考にすると、今回の県民投票でも有権者の50%(約58万票)が「埋め立て反対」の意思を表明するか否かが一つの分水嶺になる。

 昨今の沖縄における重要な選挙の投票率は60%前後である。しかしながら、法的拘束力のない県民投票で60%の投票率を実現することは難しい。おそらく50% を越えられるかどうかといったところが見どころだろう。

 たとえば投票率を多目に見て55%と仮定した場合でも、「反対」が有権者の過半数に達するには投票者の約91%が「反対」に 投票しなければならない。設問が「賛成」「反対」「どちらでもない」の三択の場合、「91%」を達成するのは極めて難しい。
住宅地に隣接している米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)
住宅地に隣接している米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)
 先に述べたように、今回の県民投票はそもそも意義を見いだしにくいものだが、結果が得られたとしても、「移設反対」の論拠を補強するものにはならないというのがここでの結論である。

 にもかかわらず、移設反対派は、「強権的な政府により県民投票を妨害された」という主張を掲げて、4月に行われる衆院沖縄3区補選、7月に行われる参院選を闘うだろうが、それは決して有効な「武器」にはならない。振り出しに戻るだけの話である。徒労感ばかりが残る県民投票になりそうだ。残念なことである。