この現実の前に、韓国民に「日本から学ぶものはなくなった」という感情が生まれ、日本への尊敬の念が消滅した。単なる「反日感情」のみを原因にすると、日韓の真実から目を背けることになる。

 韓国と韓国民には「長い間、日本に我慢した」という思いがある。経済面では、日本からの投資に頼り、企業経営を学んできた。冷戦下では、安全保障面でも日本に頼らざるを得なかった。冷戦崩壊と南北融和の進展により、韓国民は安全保障上の脅威がようやく消えたと感じている。

 さらに、経済や安全保障面で「中国依存」が高まり、日本の必要度は急速に低下した。これが、日本にとっての「不都合な現実」なのだ。

 米紙のインタビューで飛び出した文喜相(ムン・ヒサン)国会議長の「天皇が元慰安婦の手を握って謝れば解決する」という発言は、普通の韓国民が「お茶飲み話」でよく語る話だ。「普段からの持論で、10年前から話してきた」と発言撤回を拒否した文議長も、そうした茶飲み話を日本の政治家に語っていたのかもしれない。もしそうならば、日本側も「それは無理です」と反論し、日本人の「天皇への思い」を説明しなくては、「日本側も受け入れた」と勘違いする。

 韓国では、戦後の日本の変化や天皇の地位について学ぶことはない。日本国憲法に関する説明もない。「歴代首相や天皇の謝罪」についても、教科書には全く書かれていない。

 これは、日本の教科書や教育でも同じだ。両国の戦後の社会変化と文化理解への教育と教科書がないのも「不都合な現実」だ。「日本が何度も謝罪した」という事実は、韓国民と日本人の常識になっていないのである。

 米朝首脳会談は、世界の視聴者に向けた両首脳の「テレビ・ショー」である。トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は成果があったように演出する「天才」だ。2人は演出と演技による「成功」では、完全に一致している。だから、トランプ大統領は「良い関係だ」というのだ。
2019年2月、米ワシントンにある大韓帝国時代の施設を訪れた韓国の文喜相国会議長(聯合=共同)
2019年2月、米ワシントンにある大韓帝国時代の施設を訪れた韓国の文喜相国会議長(聯合=共同)
 トランプ大統領としては、米国との戦争も辞さなかった国際的な「問題児」に市場経済と経済発展を教え、平和に導いたという「感動的なドラマ」を米国民に示せば大成功なのだ。

 その裏には、核とミサイル実験中止を継続できれば、米国民が「非核化の遅延を問題にしない」というトランプ大統領の判断がある。米朝首脳会談の成功と南北関係の進展により、韓国の対日関心がますます「低下」することは避けられない。