下地敏彦(宮古島市長)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の賛否を問う県民投票が2月24日に実施されます。当初、私は宮古島市長として「県民投票を実施しない」と表明しました。なぜなら宮古島市では関連予算案が市議会で2度にわたり否決されており、その議会議決を重視したからです。

 県民投票の不参加について、報道などでは否定的な論調にありましたが、行政の長としては議会における議員の意見がまさに民意であり、地域の代表者としての議員の意思は到底無視することはできません。そのような中で、リコール運動を示唆し、県内の市町村長に県民投票の実施を迫った市民団体などの手法は、尋常ではないと感じていました。

 県民投票は昨年10月の県議会で、普天間基地の移設の背景や経緯などに深慮なく、賛否のみを問う二者択一方式での実施が決まりました。「普天間基地の危険除去のための辺野古移転についてはやむを得ない」とする一定数の県民が選択する可能性のある項目の検討が求められながら、かたくなに追加を認めないまま県民投票を推進する県与党の姿勢について再考を求める意見があったのも事実です。

 そんな中、県議会は現行の賛成、反対の二者択一に「どちらでもない」を加えた3択に条例改正することで合意し、1月29日に改正案を可決しました。3択になったことにより、多様な県民の意思を確認することが可能になったことを私は高く評価しています。

 いま、私たちが置かれている安全保障環境は、南西諸島地域では中国公船による度重なる尖閣諸島での領海侵犯や沖縄本島宮古島間の軍艦などの航行、軍用機の飛来に対応するスクランブル発進の常態化など、厳しさが増しています。

 国は不測の事態に対処するため、島嶼(とうしょ)防衛の一環として宮古島に陸上自衛隊を配備することとし、地域住民に理解を求めています。市議会においても幾度となく議論が重ねられ、自衛隊配備に反対する意見、賛成する意見や現状を鑑みて条件付きで賛成とする消極的賛成意見など多様な意見があります。

 私は、議会での議論の状況や市民の意見などから総合的に判断し、平成28年6月の議会において宮古島市への陸上自衛隊配備については「了解」することとしました。
記者会見で沖縄県民投票を実施する方針を表明する宮古島市の下地敏彦市長=2019年1月31日、宮古島市役所(共同)
記者会見で沖縄県民投票を実施する方針を表明する宮古島市の下地敏彦市長=2019年1月31日、宮古島市役所(共同)
 その後施行された平成29年1月の市長選挙において、自衛隊配備について「了解」とする私自身が当選したことから、自衛隊配備については市民の理解が得られているものと考えています。昨年の地元紙などによる、住民合意のない自衛隊の配備強行は認められないなどという報道については、私の見解と相違しています。

 国と沖縄県においては、対立をあおる論調については冷静に対応し、周辺の安全保障環境の状況なども総合的に判断し、適切な対応をしていただきたいと切に願います。