諸説あるが、その際に猫も大陸から日本に渡ったとされる。仏教の経典をかじるネズミを追って船倉に紛れ込んだ、とかなんとか。とにかく、それまで日本に猫はいなかったようである。

 ゾロアスター教の中で「猫は悪魔の使い」とされている。そのゾロアスター教をペルシャから追いやったイスラム教。イスラム教では反対に猫を敬愛しているという。

 映画の中で、フレディと父親はソリが合わない。これは猫とゾロアスター教の関係と同じである。フレディは厳格な父親から逃げる、あるいは父親を越えようと音楽に没頭する。

 むろん、それはフレディに音楽の才能があり、また人を魅了させる能力が高かったからに他ならない。猫のようにしなやかで悪戯(いたずら)な身のこなし、そして魅惑的な歌唱能力。当時、イギリス及び世界で流行っていたロックアーティストは、どちらかというと男らしく、時に獰猛(どうもう)なイヌ科が多かったのではないだろうか。

 そこに、女性性をも振りまくエポックメイキングなロックボーカリストが登場したのである。周知の通り、彼らクイーンはイギリスのロックシーンに登場した際、強く否定された。

 彼らを盛り上げたのは、日本のファンだと言われている。日本では「ネコ科ロックアーティスト」のフレディが、ハナからモテモテだったというわけだ。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』の一場面=(C) 2018 Twentieth Century Fox
映画『ボヘミアン・ラプソディ』の一場面=(C) 2018 Twentieth Century Fox
 さて、日本で猫といえば招き猫である。招き猫には人を惹(ひ)きつける能力があるとされている。人が引き寄せられるから、商売繁盛に繋がるのである。

 では、なぜ人は猫に惹かれるのか。それは虫に侵されているからである。そう、虫なのである。人も猫も虫に侵されているのである。

 その名も「トキソプラズマ」。ごく小さな虫であり、原虫と呼ばれる類いのものだが、猫はトキソプラズマの宿主でもある。つまり、猫とトキソプラズマは共生関係にあり、言うなれば助け合っているのである。