2019年02月22日 17:43 公開

イギリスの最大野党・労働党の離党議員たちが作った「独立グループ」に20日、与党・保守党の離党議員たちが合流した。与野党からの議員離党は、今後さらに増える可能性がある。

20日に保守党を離党したハイディ・アレン下院議員は英ITVのロバート・ペストン記者の番組に出演し、保守党の「3分の1」が党指導部の方針にうんざりしていると述べた。

ジャスティーン・グリーニング議員(保守党)は、イギリスが離脱条件で合意せずに欧州連合(EU)から離脱するいわゆる「合意なしブレグジット(イギリスのEU離脱)」になった場合、「単なるブレグジット党」と化した保守党に残ることはできないと述べた。

新グループの議員たちは、「中道政治」のために戦うとしている。

新しい「独立グループ」は、労働党指導部のブレグジットに対する姿勢や「反ユダヤ主義」を批判して離党した8議員が結成した。

その後、20日に保守党を離党したアナ・スーブリー議員、ハイディ・アレン議員、サラ・ウォラストン議員の3人も加わった。3議員は、ブレグジットなどに関する党の方針を、強硬右派に決めさせていると、党指導部を非難している。

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寛容な教会

フィリップ・ハモンド英財務相はBBCラジオ4の番組で、元同僚たちのコメントは「悲しかった」と明かしたが、「いずれ復党できると思うようになるだろう」と期待を示した。

ハモンド氏は、今の保守党を動かしているのはジェイコブ・リース=モグ議員率いる離脱派の欧州研究グループ(ERG)だという、スーブリー議員たちの非難を否定。ERGは「少数の強硬派」に過ぎないと一蹴し、保守党は今も多様な意見を受け入れる「寛容な教会」だと主張した。

ERG副代表のマーク・フランソワ議員(保守党)は、自分たちは決して保守党を牛耳る「政党内政党」などではなく、「EUを離脱するべきだというイギリス国民の民主的決定を尊重することに、情熱をかけている保守党議員団」だと述べた。

フランソワ議員は、「反対にアナ、ハイディ、そしてサラこそ、今や政党のない政党だ。我々と正反対の目標を目指している。結果的にどうなるか、様子を見よう」と付け足した。

「独立グループ」のウォラストン議員は、「合意なしブレグジット」になった場合、内閣の3分の1が辞任するはずだと主張している。

ハモンド財務相は、自分の離党はありえないと言明しなかった。しかしハモンド氏は、「合意なしブレグジット」の脅威によって、誰もが目の前の事態に集中するようになったし、妥協点を見出そうと努力するようになったと話した。

元教育相のグリーニング議員(保守党)は、離党について「検討はしたものの、現時点では別の結論に至った」と明かした。

その上でグリーニング氏は、「ただ単に欧州連合から、がらがらがっしゃんと飛び出るためだけのブレグジット党となった保守党には、残ることができないと思う」と、合意なしブレグジットを支持する党内会派をけん制した。

一方、元法務長官のドミニク・グリーヴ議員(保守党)はBBC番組「ニュースナイト」に出演し、元労働党議員8人と元保守党議員3人、合わせて11人の「独立グループ」のメンバーの勇気を称賛した。そして、もし保守党が「完全におかしくなって」合意なしブレグジットを支持した場合、保守党には留まれないと述べた。

労働党のイアン・オースティン議員は、英地方紙エクスプレス・アンド・スターに対し、党内での自分の未来について「じっくり熟慮する」と述べた。

影の内閣内相のダイアン・アボット議員はBBCラジオ4で、「新しい独立グループの議員たちが労働党からいなくなってしまったことは非常に悲しい」と述べた。

「最後の最後まで、他の議員は皆、離党しないよう説得していた」

アボット氏は、離党した議員たちが今後も労働党と一緒にホームレスや社会保障体制、国民医療保険制度の国民保健サービス(NHS)、そして「なにより保守党によるブレグジットの戦い」のような問題について取り組み続けることを期待すると述べた。

保守党幹部は、今回離党した3議員がいずれ復党する機会はあると示唆した。

しかしスーブリー議員は、保守党の精神が右派の「紫の動き」に飲み込まれてしまったと批判し、「後戻りはできない」と述べている。スーブリー議員たちが言う「紫の動き」とは、イギリス独立党(UKIP)支持者が各地で保守党の党員となり、EU残留派議員の立候補を阻止しようとするものを指す。

スーブリー氏はまた、デイヴィッド・キャメロン前首相が自分たち3人を最後まで慰留しようとしたと明らかにした。

英紙タイムズのポッドキャストでスーブリー氏は、前首相から「残ってもらいたいが、説得はもう手遅れ?」とメッセージを受け取ったと話した。

アレン議員もまた、「自分が自分の仕事をしっかりやれば、自分たちが戻れる保守党はもうなくなる」ため、復党など想像できないと述べた。

アレン氏は、「善良で思慮深い中道派の同僚たち」が新たな独立グループに加わることを「期待している」と話した。

労働党党首は離党議員の辞職要求

一方で、20日夜にツイッター上で公開されたビデオメッセージの中で、労働党のジェレミー・コービン党首は労働党からの離党者は議員辞職し、あらためて選挙に出るべきだと主張した。

コービン氏は、離党議員は「当選時に掲げていた政策を放棄」したいのだから、辞職と再出馬が「民主的で正しいこと」だと述べた。

コービン氏を支える党内会派「モメンタム」は、補選となった場合には、独立グループ議員のいる選挙区で労働党の公認候補を後押しするため、「大々的な支持者集会」を開く方針という。

(英語記事 More MPs could quit Labour and Tories