2019年02月25日 13:45 公開

イギリスのテリーザ・メイ首相は24日、イギリスの下院議員は3月12日までにブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)協定に関する採決を行うとの方針を示した。

欧州連合(EU)とアラブ連盟の首脳会談(サミット)に出席するためにエジプトのシャルム・エル・シェイクを訪問中のメイ首相は、今週中に「意味ある投票」を行う可能性を否定した。

一方で、EUとの「前向きな」協議は「なお継続中」で、3月29日に迫った離脱も「手の届く範囲にある」と話した。

これに対し最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首はメイ首相を「無謀に時間稼ぎをしている」と批判した。

コービン氏はツイートで、首相は時間稼ぎをして「自分のひどい協定か、悲惨なことになる合意なしのどちらかを選ぶよう、議会を追い込もうとしている」と書いた。

その上でコービン氏は、労働党は「下院の全議員と協力して合意なしブレグジットを阻止し、こう着状態を打破し、われわれの代替案に支持を取り付ける」と述べた。

イギリスは3月29日にEUを離脱するが、その条件をまとめた離脱協定はイギリス議会の承認を取れておらず、自動的に合意なしブレグジットとなる懸念が高まっている。

<関連記事>

シャルム・エル・シェイクへの飛行機の中でメイ首相は、26日にはブリュッセルに戻り、離脱協定について協議を続けると説明した。

「そのため、今週は議会で意味ある投票を行わないが、3月12日までには行うことを約束する」

メイ首相はエジプト到着後すぐに欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(大統領に相当)と会談。サミット後にも他のEU首脳らと話し合う予定だ。

首相によると、イギリス政府はEUと、アイルランドと英・北アイルランドの国境問題をめぐる「バックストップ(防御策)」についての協議が続いているという。

イギリス議会では、バックストップが発動すると実質的にイギリス全体がEU関税同盟にとどまるほか、北アイルランドがそれ以外のイギリス各地と別扱いになることが問題視されており、離脱協定の承認を妨げている。メイ首相は1月、バックストップの代わりとなる取り決めをEUと再交渉することを議会に約束している

メイ首相はまた、3月末のEU離脱後も首相職に留まりたいとの意向を示した。自分の仕事は「ブレグジットを実現することだけではなく、国内の課題についても対応したいものがある」としている。

首相は昨年12月、次回の総選挙では党首として保守党を率るつもりはないと表明していた。

「信じられない」

労働党のイヴェット・クーパー議員はツイッターで、メイ首相の発表を「まったくのでたらめだ」と非難した。

「私たちは毎回、ますます崖っぷちに近付いている。この混沌のなかで、どうやったら企業や公共サービス、家族は、将来に向けて計画できるというのか」とクーパー氏は批判した。

スコットランド国民党(SNP)のイアン・ブラックフォード議員も採決の遅れを「受け入れられない」としている。

英商工会議所(BCC)のアダム・マーシャル会頭は、「3月12日に議会で採決したものを3月29日に施行するなんて。今の時代、経済と貿易にとって最大の変化になるなるだろうことについて、企業や従業員、投資家、コミュニティーに17日の猶予しか与えないなど、信じられない」と語った。

https://twitter.com/BCCAdam/status/1099693119178600455


今週の英議会は?

下院は27日、ブレグジットの方向性を変える修正案を審議する予定だ。

今回の審議の目玉はオリヴァー・レトウィン議員(保守党)とイヴェット・クーパー議員が提出した、3月半ばまでにEUと離脱協定が合意できなければブレグジットを延期し合意なしブレグジットを阻止するというもの。

これについてはグレッグ・クラーク・ビジネス・エネルギー・産業戦略相やアンバー・ラッド労働年金相、デイヴィッド・ゴーク大法官兼司法相が英紙デイリー・メールに、離脱派の英下院保守党議員から成る欧州調査グループ(ERG)が「向こう数日の間に」離脱協定の採決を阻止するつもりなら、この修正案を支持せざるを得ないと話した。

閣僚らは、そうすれば合意なしブレグジットを望むERGは、「ブレグジットを遅らせたのは他でもない自分たちだと非難しなければいけない」と語った。

一方でマイケル・ゴーヴ環境相は、閣僚は「団結して」首相を支えるべきで、クーパー=レトウィン案を支持するべきではないと訴えている。

このほか、労働党も修正案として、EUとの永続的な関税同盟および単一市場との緊密な関係を求める独自のブレグジット案を下院に提出する可能性が高い。

この案は否決される公算が高いが、その意義は大きい。労働党は昨年9月に行われた党大会で党幹部に対し、解散総選挙に持ち込めない場合は、国民投票を含め、メイ首相のブレグジット案に対抗する全ての代替策を模索するよう求めていた。

その後、解散総選挙には至らなかった。ここで労働党のブレグジット案が否決されれば、同党が取れる最後の手段は2度目の国民投票となる。

同党のトム・ワトソン副党首はBBC番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演し、「労働党は(国民投票を支持する)方向に向かいつつある」としたものの、「向こう数日はやりようがある」と話した。

また意味ある投票が行われる際には、ピーター・カイル議員とフィル・ウィルソン議員が提出した、メイ首相の離脱協定を支持する代わりに国民投票を確約させる修正案についても考慮する方針という。

(英語記事 MPs to have Brexit vote by 12 March