2019年03月01日 13:26 公開

ヴェトナム・ハノイでの2回目の米朝首脳会談に同行していた北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は1日深夜、今後アメリカが引き続き協議を求めたとしても、北朝鮮の方針は変わらないと述べた。非核化に向けた土台作りが焦点となっていた今回の首脳会談では、米朝間の隔たりが浮き彫りとなり決裂に終わった。

李外相は、ドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による2回目の首脳会談の後、深夜に記者会見を開いた。

李外相の会見に先立ちトランプ大統領は、朝鮮半島の非核化に向けた合意に至らなかった理由について、北朝鮮が全面的な制裁解除を求めてきたものの、応じないことにしたからだと説明していた。

ところが、李外相はトランプ氏の発言を否定し、北朝鮮は全面的な制裁解除ではなく、一部の制裁解除を求めただけだと強調した。

北朝鮮は、アメリカの査察のもとで寧辺(ヨンビョン)核施設を完全に廃棄するなど、 「現時的な」提案をしたと主張した。

「現在の朝鮮民主主義人民共和国とアメリカの間の信頼度を考慮すると、この提案は、我々が現段階で実行できる最大級の非核化措置だった」

北朝鮮はその見返りとして、民間の経済と北朝鮮国民の暮らしを妨げている制裁のみを解除するよう求めたのだと、李氏は述べた。

李外相は、北朝鮮が永久的に核・ミサイル実験を停止することも提案したと明かした。

さらに、ハノイでの米朝首脳会談のような好機を再び見い出すことはおそらく難しいだろうと付け加えた。

李氏は記者団に対し、「将来アメリカが再び交渉を提案したとしても、我々の基本的立場は不変であり、我々の提案は決して変わることはないだろう」と述べた。

トランプ大統領の主張

米朝両首脳は当初、朝鮮半島の非核化に向けた進展について発表し、合意文書に署名するものとみられていた。

ところが、決裂に終わった会談後の記者会見で、トランプ大統領は「結局のところ制裁がすべてだった。北朝鮮は制裁の全面解除を求めてきたが、我々はそれはできなかった」と合意に至らなかった理由を説明した。

「時には、席を立たなければならないこともある。今回はそういう時だった」

サラ・サンダース米大統領報道官によると、帰国の途についたトランプ氏は大統領専用機「エアフォースワン」の機内で、日本の安倍晋三首相と韓国の文在寅大統領それぞれと約15分間電話で会談し、今後も北朝鮮との協議を続けると伝えた。

同乗していたマイク・ポンペオ米国務長官は、そう遠くない将来に日韓両政府も北朝鮮との協議を再開するよう期待すると述べた。

ポンペオ氏は、「私の感覚では、少し時間がかかるだろう。みんなそれぞれに、少し態勢を立て直す必要がある」と述べた。

会談が決裂した要因

トランプ大統領によると金委員長は、北朝鮮の核開発を担う寧辺核施設の廃棄という重要な提案をし、その見返りに全面的な制裁解除を求めてきた。トランプ氏は、応じるわけにはいかった説明した。

寧辺核施設に留まらない、北朝鮮国内に広がる数々の核関連施設への懸念もあった。

米国務省のスティーヴン・ビーガン北朝鮮担当特別代表は今年1月、北朝鮮が韓国側とポンペオ国務長官に対してそれぞれ、アメリカからの見返り次第では全てのプルトニウム濃縮施設とウラン濃縮施設を廃棄すると約束したと話した。

このアメリカからの見返りというのは、完全な制裁解除だとみられるが、今回トランプ氏はこれを提案していない。記者会見でトランプ氏は、金氏が全ての核関連施設ではなく寧辺核施設のみの破壊を提案してきたと述べた。

寧辺核施設は北朝鮮の唯一のプルトニウム製造施設として知られているが、同国には他に少なくとも2つのウラン濃縮施設があるとされる。

トランプ大統領によると、寧辺核施設とは別の濃縮施設の問題を提起したところ、北朝鮮代表団はアメリカが施設の存在を知っていることに「驚いた」という。

非核化の定義

米朝両国の非核化の定義はあいまいだ。アメリカ側はこれまで、北朝鮮が全ての核兵器を放棄し、全ての核施設を破壊しなければ、いかなる制裁解除も行なわないとしてきた。しかし、北朝鮮にとっては承服しがたい条件だとみられている。

非核化するには、在韓米軍の撤退が交換条件として必要だというのが、金委員長の立場だと言われている。

米朝首脳会談後の記者会見でトランプ大統領は、非核化とは何を意味するのかと問われ、「僕にはかなり歴然としている。核兵器の一掃が必要だ」と答えた。

またトランプ氏は、米政府代表団には「いくつか選択肢があったものの、今回はそのいずれも実行しないと判断した」のだと述べた。

(英語記事 N Korea: We won't move on talks with Trump