また、記者の事実誤認については、もしそうであれば、誤りをきちんと指摘し、正しい事実を伝えればよいだけの話である。答える側にすれば、間違った事実を質問されれば、それを利用して正しいことを伝える機会にすることができる。

 また、そもそも記者が「事実誤認」などという初歩的ミスをするということは、自分の説明が十分でなかった、あるいは誤解を招くような下手な説明であったと反省する材料にもなる。

 以上は一般的なコメントであり、私が望月記者の質問を毎回細かくチェックしているわけではないので、彼女の言動が「度重なる問題行為」に相当するのかどうか判断できない。ただ、官邸がそこまで断言するのには、それなりの根拠があるのかもしれない。

 この点で参考になるのが、米国のトランプ大統領の記者会見である。彼は記者の質問に答える以前に、自分と意見の異なる記者からの質問に対しては、「フェイクニュース」と断罪し、次の回からはその記者を指名しない。

 もし、日本の政治家が「トランプ流」の受け答えをすれば、非難の嵐となろう。2年前、今村雅弘元復興相が記者に対して「(会見室から)出て行きなさい!」と激高して批判されたが、それが「日本の風土」である。

 第二の論点は、望月記者の質問中に、官邸報道室の上村室長が「簡潔にお願いします」「質問に移ってください」などと、何度も質問を遮ったという点だ。この点については、上村室長の介入が適切か、あるいは表現の自由を阻害するような類いの不適切なものか、判断が必要である。

 そして、記者については、一定の品位を保った質問をしているか、質問に関連することを十分に調査し、勉強しているか、ということが問われることになる。

 東京新聞側から見れば、上村室長の介入は「限度を超えている」という見解であろう。また、官邸側から言えば、望月記者は記者会見で「最低限守るべき礼儀を欠いている」という理屈になる。
2019年2月28日、ハノイでの米朝首脳会談を終え、記者会見する米国のトランプ大統領(左)とポンペオ国務長官(共同)
2019年2月28日、ハノイでの米朝首脳会談を終え、記者会見する米国のトランプ大統領(左)とポンペオ国務長官(共同)
 ベトナムの首都、ハノイで開催された米朝首脳会談の最中、ワシントンではトランプ大統領の元個人弁護士、マイケル・コーエン被告が下院の公聴会で証言したが、ハノイでこの件について質問した4人の記者が、首脳会談と無関係なことを質問したとして、記者会見への参加を拒否された。これは、ホワイトハウスの権限で行われたものである。官邸側も、できれば望月記者をつまみ出したいというのが本音だろう。