木下徹郎(弁護士)

 2月からフランチャイズ契約に反して24時間営業を止めたコンビニ最大手、セブン-イレブン・ジャパンフランチャイズ加盟者の松本実敏(みとし)さんは、19時間営業となった今も1日13時間、大阪府東大阪市内の店舗で働いている。24時間営業をしていたときは1日16時間も就労していたという。

 筆者は中央労働委員会で、コンビニフランチャイズ加盟者を組織した労働組合が、労働組合法の適用を受けるかが争われている事件の組合側代理人として、複数の加盟者の就労実態に触れてきた。その経験から、松本さんが店舗運営上置かれている状況は、彼特有のものではなく、決して珍しくないものであると言える。またセブン-イレブンのみの問題でもなく、他のコンビニフランチャイズの加盟者に共通する問題である。

 なぜ松本さんのような就労実態が加盟者の間で多くみられるのか。全国の松本さんたちのような店舗の「運営の仕方」に問題があるせいなのか。確かに複数店舗を運営し、発注、接客、商品の検品、陳列、清掃等店舗実務はスタッフに任せ、自身はこれらに直接は携わらないという加盟者もいる。しかしその数は加盟者全体で見れば少ない。店舗運営の巧拙だけでは片付けられないフランチャイズシステムの構造的な問題に大きな原因があると考える。

 コンビニフランチャイズでは、フランチャイザーがコンビニシステムを提供し、加盟者は店舗の粗利益の一定割合をその対価(ロイヤルティー)として支払う。その割合は、フランチャイズの契約タイプによって異なるが、店舗の土地建物や什器(じゅうき)を所有しない加盟者だと、相当高いものである。

 他方で、加盟者はロイヤルティーを支払った残りから、人件費をはじめとする店舗運営にかかる営業費用を捻出し、残ったものが自身の収入となる。多くの場合、この収入は加盟者とその家族の生活を支える糧となる。
セブンーイレブンの店員(佐久間修志撮影)
セブンーイレブンのスタッフ(佐久間修志撮影)
 営業費用がかさみ、その結果収入が足りない状況に陥った場合、加盟者はその生活を支えることができない。他方、自身やその配偶者が店舗実務にあたることで人件費が抑えられ、結果自身の収入につなげることができる。多くの加盟者が松本さんのように相当長時間店舗で就労をするのは、自身の収入、そして多くの場合生活の糧を確保するためであると考えられる。

 加盟者の収入を決める要素は複数ある。店舗の売り上げ、人件費をはじめとする営業費用、商品の廃棄量、ロイヤルティーの割合などである。店舗によって売り上げや営業費用はそれぞれ異なるが、多くの加盟者が松本さんのように店舗運営のために長時間就労していることからすると、そのフランチャイズシステム上の大きな構造的要因は、加盟者間に共通する要素であるロイヤルティーの割合に求められる。