2019年03月11日 13:54 公開

アフリカ北東部のエチオピアで10日、首都アディスアベバからケニアの首都ナイロビに向かっていた旅客機が離陸直後に墜落し、乗客乗員157人全員が死亡した。

エチオピア航空302便は、離陸から約6分後の午前8時44分頃に墜落した。航空会社によると、搭乗者にはケニア人32人、カナダ人18人、アメリカ人8人、イギリス人7人が含まれる。

事故機は昨年11月15日に導入されたボーイング737マックス8型で、今年2月4日に「厳格な最初の整備」を実施したばかりという。

昨年10月にインドネシア沖に墜落し、190人近い犠牲者を出したライオン航空機も、今回と同型のもの。

事故を受けて中国の航空当局は11日午前、中国の航空各社に、同型機の使用中止を命令した。中国国際航空、中国東方航空などが影響を受ける。

中国民間航空局は声明で、「両方の事故に、就航したばかりのボーイング737マックス8型が関わり、どちらも離陸間もない段階での事故だったことから、一定の共通性がある」と指摘した。

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何があったのか

これまでのところ、今回の事故原因は分っていない。一方で航空会社は、事故機の操縦士から、問題が発生したためアディスアベバに引き返したいとの報告があったと明かした。

エチオピア航空のテウォルデ・ゲブレマリアム最高経営責任者(CEO)は、アディスアベバのボレ国際空港で記者団に対し、「現段階では、いかなる可能性も排除できない」と述べた。

「我々は事故調査を待つために国際規定に従わなければならず、事故原因を何かと結びつけることもできない」

当時の視界は良好だったとされるが、飛行機の位置をリアルタイム表示するサイト「フライトレーダー24」はツイッターで、当該機の「離陸後の垂直速度は不安定だった」としている。

目撃者はBBCに対し、「飛行機が墜落すると、激しい炎が上がった。炎の勢いが強くて近づけなかった。全て焼け落ちてしまった」と述べた。

犠牲者

エチオピア航空のゲブレマリアムCEOによると、事故機には30カ国以上の人が搭乗しており、ケニア人32人、カナダ人18人、エチオピア人9人、イタリア人8人、中国人8人、アメリカ人8人、イギリス人7人、フランス人7人、エジプト人6人、ドイツ人5人、インド人4人、スロヴァキア人4人が含まれるという。

このほか、オーストリア人3人、スウェーデン人3人、モロッコ人2人、スペイン人2人、ポーランド人2人、イスラエル人2人も搭乗していた。

国連によると、犠牲者のうち少なくとも19人は国連機関の職員やフリーランスの通訳だという。11日から始まる第4回国連環境総会に参加する予定だったとみられる。

スロヴァキア国民党のアントン・ヘレンコ議員はフェイスブックで、妻と子供2人が搭乗していたと認めた。

さらに、アイルランド、ネパール、サウジアラビア、ジブチ、ベルギー、インドネシア、ソマリア、ノルウェー、セルビア、トーゴ、モザンビーク、ルワンダ、スーダン、ウガンダ、イエメン、それぞれ1人が犠牲になった。

国連世界食糧計画(WFP)のデイヴィッド・ビーズリー事務局長は、WFPの職員7人が犠牲になったと明かした。

https://twitter.com/WFPChief/status/1104778794710298624

エチオピアは11日、国として喪に服すことを宣言した。

事故を受けて、各国首脳が哀悼の意を表している。

カナダのジャスティン・トルドー首相は、「深く悲しんでいる」と述べ、「我々は国際社会と共に、多くの人命が奪われたことを追悼します」と表明した。

また、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はツイッターで、エチオピアとケニアの国民との連帯を表明し、「悲しみを分かち合う」と投稿した。

事故機、ボーイング737マックス8型とは

2017年に商用利用が開始された比較的新しい機体だ。

エチオピア航空は路線拡大のために同型機を30機発注しており、墜落したのはその内の1機だった。

ボーイング社は墜落を受けて「深く悲しんでいる」とし、技術援助を提供するためのチームを派遣したことを明らかにした。


同型機をめぐっては、昨年10月にライオン航空機がインドネシア沖に墜落し、189人が犠牲になった。

この事故の調査官は、ライオン航空機の操縦士が、機体の失速を防ぐために設計された自動システムの扱いに苦戦していた可能性を指摘した。操縦士が調整を試みても、ボーイング737マックス型の新機能の失速防止システムは、繰り返し機首を強制的に下げさせるという。

今回のエチオピア航空機と同様に、ライオン航空の同型機も導入されたばかりで、離陸直後に墜落した。今回、エチオピア航空機が同様の問題に見舞われたのかは分かっていない。

米運輸省の監査長官を務めたメアリー・シアヴォ氏はCNNに対し、「非常に疑わしい」と述べた。

「新型の航空機が1年間に2回も墜落している。航空業界で警鐘を鳴らしている。簡単に起きることではないので」

昨年10月のライオン航空機墜落を受けて、ボーイング社は航空会社に対し、失速防止システムに問題があることを警告する緊急通知を送付した。

ロイター通信によると、ボーイング社はこの問題に対処するために、ソフトウェアの修正プログラムをリリースするとみられる。

航空安全コンサルタントで元事業用操縦士だったアンドリュー・ブラッキー氏はAP通信に対し、システムの変更は「運航職員に対して特に説明がなされていなかったのかもしれない」と述べた。

「(しかし)これまでの航空の歴史をさかのぼれば、新たなタイプの航空機が運用されたときに事故率が急上昇することは珍しくはない」

エチオピア航空の安全記録

エチオピア航空は、アフリカ地域の様々な場所を結んでいる。多くの航空会社がアフリカとアフリカ以外の間でしか運行していないため、エチオピア航空はアフリカ大陸において人気のある航空会社だ。

安全性において高い評価を得ているが、2010年にはレバノン・ベイルートを出発した機体が地中海に墜落する事故が起きている。この事故では、90人が死亡した。

最も犠牲者を出したのは1996年のハイジャック事件で、アディスアベバ発ナイロビ行きの旅客機のエンジンの1つが燃料が無くなって停止し、墜落した。操縦士は水上着陸を試みたものの、機体はインド洋のサンゴ礁に衝突。乗客乗員175人の内123人が死亡した。

(英語記事 'No survivors' in Ethiopia plane crash