2019年03月13日 13:16 公開

米連邦航空局(FAA)は12日、東アフリカのエチオピアで離陸直後に墜落した旅客機と同型の機体(ボーイング737マックス8型)について、今後も運航は中止しないと表明した。米国内では、複数の上院議員や労働者組合などから安全性を問題視する声が上がっている。他方でアジアや欧州には、737マックス8型の使用中止の判断が広がっている。

FAAは、10日の事故を受けて行なわれた調査では「性能上の問題点」は確認されず、ボーイング737マックス8型の運航を中止する根拠はないと主張した。

エチオピアの首都アディスアベバからケニア・ナイロビに向かっていたエチオピア航空302便は10日、離陸から約6分後の午前8時44分頃に墜落し、乗客乗員157人全員が死亡した。

約5カ月前の昨年10月にインドネシア沖に墜落し、189人の犠牲者を出したライオン航空機も、今回と同型のもの。

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米国以外では同型機の使用中止の動きが広がっている。

中国の航空当局は11日午前、中国の航空各社に同型機の使用中止を命令した。中国国際航空、中国東方航空などが影響を受ける。

インドネシア航空当局も同型機の国内での使用中止措置をとったほか、エチオピア航空とケイマン航空、アルゼンチン航空、ブラジルのゴル航空も同型機の運用を中止した。

さらにインドの民間航空省も、同型機を「直ちに」使用中止にすると発表した。安全な運航を保証するための適切な変更および安全措置が講じられるまでは使用しないという。

この動きはヨーロッパにも拡大しており、欧州航空安全機関(EASA)は「予防措置として」同型機の使用を中断する判断を下した。理由については、「事故の調査は現在進行中であり、事故原因ついて結論を出すには時期尚早だ」としている。

12日にはイギリス民間航空局(CAA)も、事故機の飛行データ記録から「十分な情報」が得られていないため、同型機の使用を禁止すると表明した。禁止措置は、今後さらなる通知があるまで継続するという。

事故調査官は、操縦室のボイスレコーダーと飛行データ記録装置をすでに発見しており、現在解析を進めている。

米国内で高まる批判

航空・宇宙に関する小委員会を主導する、共和党のテッド・クルーズ上院議員は「私は、FAAが同型機と乗客の安全を確認するまで、同様にボーイング737マックス型の運航を一時中止することが、アメリカにとって賢明な判断だと考える」と述べた。

民主党のエドワード・マーキー上院議員とリチャード・ブルーメンソール上院議員は、FAAに宛てた書簡で、「同型機が安全に運航可能だと最終的に結論付けられるまで」、「我々の航空安全を担う警察官」であるFAAがボーイング737マックス型の運航を中止することを求めた。

2020年大統領選出馬を表明している民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は、FAAは他の国々の動きに「直ちに」追従し、「これらの機体を上空から排除」するべきだと述べた。

共和党のミット・ロムニー上院議員もまた、ボーイング737マックス8型の耐空性を保証できるまで使用を中止するよう訴えた。

一方のFAAは声明で、他の民間航空当局から「措置を正当化するようなデータは提供」されていないと主張した。

ボーイング社はこの問題に対処するために、ソフトウェアの修正プログラムを開発中だと認めているが、同型機は安全に飛行できると主張している。

「念には念を」

米客室乗務員協会(AFA)はFAAに対し、「念には念を入れて、米国内でのボーイング737マックス型の使用を一時中止するよう」求めていると述べた。

AFAのサラ・ネルソン会長は、「アメリカの航空システムは世界一安全だ。しかし米国民は、疑念が生じている中で、指導力を求めている」と述べた。

「FAAは国民の信頼回復のためにきっぱりと行動しなければならない」

また、米旅客機パイロット協会(APA)は会員に対し、「ボーイング737マックス8での乗務が安全ではないと思うなら、業務を強制されることはない」と強調した。

サウスウェスト航空とアメリカン航空は今後も同型機の運用を継続する。両社は、ボーイング製の機体を使用する便の乗客については、別の便への変更を申し出ている。

最新自動システムが機首を下に

ボーイング737マックスは、2017年に商用利用が開始された比較的新しい機体。同シリーズには今回墜落した8型のほか、7型、9型、10型もある。

ボーイング社は今年1月末時点で、8型については合計5011件の発注のうち、350機を納入済み。また9型についても数機が運用されている。一方、7型と10型はまだ納入されておらず、数年以内に運用が開始される予定。

エチオピア航空は路線拡大のために同型機を30機発注しており、墜落したのはその内の1機だった。事故機は昨年11月15日に導入されたもので、今年2月4日に「厳格な最初の整備」を実施したばかりという。

ライオン航空機事故の調査官は、ライオン航空の操縦士が、失速防止用の自動システムの扱いに苦戦していた可能性を指摘した。操縦士が調整しようとしても、新機能の失速防止システムが機首を繰り返し強制的に下げさせたという。

今回のエチオピア航空機と同様に、ライオン航空の同型機も導入から間もなく離陸直後に墜落した。今回のエチオピア航空機で、ライオン航空の事故機と同じ現象が起きていたかはまだ分かっていない。

の問題に見舞われたのかは分かっていない。

事故機の飛行経路の真下で農作業をしていた複数の目撃者はロイター通信に対し、機体から大きなガタガタという音が聞こえたと証言した。

目撃者の1人は「ホバリング(空中停止)中に、機体後方から炎が出ていた。それから、機首を上げようとしていた」と述べた。

「私たちの家の上を通り過ぎる時に、機首は下を向いて尾翼が上を向いた状態だった。そのまま地面にまっすぐ落ちて爆発した」

別の目撃者はBBCに対し、「飛行機が墜落すると、激しい炎が上がった。炎の勢いが強くて近づけなかった。全て焼け落ちてしまった」と述べた。

(英語記事 US refuses to ground Boeing crash aircraftEurope and India join Boeing aircraft ban after crash