神道系と仏教系を足せば、平成の間に3千万人が減少した。もっとも、氏子として神道系に数えられると同時に檀家(だんか)として仏教系に数えられる人間も少なくないので、実際の減少数はもっと少ない。

 だが、2千万人以上減少していることは間違いないことで、日本人全体の5分の1程度が信仰から離れたことを意味する。これは、あまりに急激な変化である。

 靖国神社の場合には、その影響を受けるだけではなく、固有の事情がある。

 靖国神社では、戦没者を英霊として祀っているわけだが、太平洋戦争が終わってから74年が過ぎようとしている。参拝者の中には、戦没者の遺族が膨大な数に含まれたわけだが、今や、遺族の多くは亡くなっている。

 2017年度には、軍人恩給を受け取る戦没者の妻は2万人を切った。靖国神社に祀られるということと、軍人恩給を授けられるということは連動している。だからこそ、遺族の集まりである日本遺族会は、かつては125万5千世帯(1967年)もの会員数を誇ったのだ。

在任時、共同通信社のインタビューに応じる靖国神社の小堀邦夫前宮司
在任時、共同通信社のインタビューに
応じる靖国神社の小堀邦夫前宮司
 戦没者の遺族が亡くなるということは、靖国神社に肉親が祀られているために参拝する人間の数が大幅に減少することを意味する。現在、靖国神社を参拝する人々の大半は、戦没者の遺族ではなくなっている。

 それは、靖国神社の存在意義を曖昧なものにすることに結びついている。

 「陛下は靖国を潰そうとしている」と発言して宮司の職を退くことになった小堀邦夫氏は、『靖国神社宮司、退任始末』という小冊子を出している。そこには、靖国神社の神職たちが、創建150年のための派手な事業には熱心でも、肝心な戦没者を祀るという行為には必ずしも誠実ではない実態が綴られている。