晩節を汚すリスクを抱える一方で、一向に衰えないプレーへの意欲を隠さないところを見ると、今の「逆境」を楽しんでいるようにも思えます。筆者はこのイチロー選手に「生粋のチャレンジャー(natural born challenger)」のメンタルを見ました。

 実は「チャレンジ精神」とは、ある程度持って生まれたものなのです。そして、持って生まれてしまった人はチャレンジにしか自分を見いだせないことが多いのです。

 このタイプの人はまず大きな困難に直面したときに不安になるのではなく、逆にワクワクします。「何が起こるんだろう」「何ができるんだろう」が「不安の言葉」ではなく、「ワクワクの言葉」になるのです。日本人には少数派だと言われています。

 そして、慣れ親しんだものでは満足できません。常に新しい「何か」を求め続けます。常に成功だけでなく仮に失敗して何も得られないことがあったとしても、何かを求め続けるのです。

 また、このメンタルの持ち主は頑固でマイペースでもあります。もちろん、普段は社交的に振る舞えるわけですが、自分が求めている物事に関して、人の意見や助言は受け付けません。誰も彼の決意は変えられないのです。

2016年6月、米大リーグ パドレス戦の九回に右翼線二塁打を放ち、ファンの声援にヘルメットを取って応えるマーリンズ・イチロー。メジャー歴代最多安打記録を更新する日米通算4257安打をマークした(リョウ薮下撮影)
2016年6月、パドレス戦の九回に
メジャー歴代最多安打記録を更新、
ファンの声援にヘルメットを取って
応えるマーリンズ・イチロー(リョウ薮下撮影)
 イチロー選手はこのような生粋のチャレンジャーの要素を全て併せ持っているように、筆者には見えます。ですから、周囲がどれほど心配しても、イチロー選手の中にはこの状況を楽しむ何かが失われることはないでしょう。

 周囲の心配や批判をよそに、イチロー選手は開幕戦で快音をとどろかせることしか考えていないことでしょう。心配も懸念も、オープン戦で活躍できなかったことで招いたものです。

 逆に言えば、開幕戦で活躍すれば、周囲の雑音一掃できるわけです。イチロー選手のメンタルは、もはやその準備しかしていないように思えます。そんな「生粋の挑戦者」の日本でのプレーをぜひ応援したいですね。

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