そんな前回の消費増税の悪しき主犯である黒田総裁が、3月15日の金融政策決定会合を受けた記者会見で、またもや消費増税を「援護射撃」し始めたのである。本当に露骨なほどである。黒田総裁が「所得と支出の好循環が続いていく従来のシナリオに変更はない」と強調することで、日銀の追加緩和に対する圧力をかわすためとの見方が強いとられている。

 今回の会合の決定内容を読み解くと、国内外の景気の行方については「日銀文学」らしいどうでもいい表現の修正は見られるが、要するに、大枠で現状の「好循環」が続くというのが委員の過半の判断のようである。それを主導したのは、紛れもなく黒田総裁であろう。

 現在の黒田総裁が恐れるシナリオは、「国内外の景気減速が鮮明」→「日銀が追加緩和」→「景気減速を懸念した消費増税回避の大合唱の出現」→「消費増税凍結」という動きだろう。消費増税するかどうかの「最終判断」を、まだ安倍首相はしていないからだ。

 筆者は4月中に決断すると予想している。仮にこの予想が正しければ、この3月の決定会合では、ともかく追加緩和だけは避けたかったに違いない。

 おそらく、日銀の中でも景気見通しで論争があったことだろう。それで日銀文学的には、今までのバラ色の「好循環」シナリオが、少しだけくすんだ色になった「好循環」シナリオに置き換わったに過ぎない。国内外ともに経済の見通しが「緩やかになった」などという表現がそれである。

 何が「緩やか」なのかさっぱり分からない、まさに文学的な表現である。しかし、そんな日銀文学の攻防戦など国民にとってはどうでもいいことだ。むしろ、この段階での追加緩和を回避したことは、黒田総裁にとって「大成功」と言えるかもしれない。
2019年2月、衆院予算委で答弁する日銀の黒田総裁。右端は安倍首相
2019年2月、衆院予算委で答弁する日銀の黒田総裁。右端は安倍首相
 次回の決定会合は4月下旬に行われる。この時までに安倍首相は、消費増税の最終判断をしている可能性が高い。もしまだ行っていないのであれば、日銀が追加緩和するか否かが、重要な判断材料になる。

 いずれにせよ、消費増税の最大の戦犯である黒田総裁の発言と行動には、国民の注視と批判が必要である。