2019年03月19日 17:11 公開

トルコ・イズミルの選挙集会で17日、銃撃事件の犯行の様子を映した動画を流したレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領に批判が高まっている。ニュージーランド・クライストチャーチで15日に発生したモスク(イスラム教礼拝所)銃撃事件では70人以上が死傷した。

エルドアン大統領は、オーストラリア国籍のブレントン・タラント容疑者(28)の声明は、トルコをヨーロッパから遠ざけようとしていると述べた。

ニュージーランドのウィンストン・ピーターズ外相はトルコ政府に対し、動画を見せるのは「不公平」であり、海外にいるニュージーランド国民を危険にさらすことになると抗議した。

ニュージーランド・クライストチャーチで15日に発生した銃撃の被害は、死者50人、負傷者50人に達したほか、2人が重体という。

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銃撃犯は自分の犯行の様子を撮影し、フェイスブックでライブ配信した。

ソーシャルメディア各社は動画を徹底的に削除して回ったものの、動画は限りなく複製され、広く拡散された。

米フェイスブックは最初の24時間のうちに、世界中で約150万件の動画を削除したという。

ニュージーランドではこの動画は好ましくない出版物として指定され、動画の拡散・所有は罪になる。

なぜ選挙集会で動画を流したのか

今月31日に地方選を控える中、エルドアン大統領の保守的な勢力基盤の中での支持を活気づけるために、ガジアンテップで集会が開かれた。

銃撃動画をここで流した目的は、世界に広がるイスラム嫌悪の動きを非難し、トルコ国内の政敵を弱腰と非難することだった。

エルドアン大統領は、容疑者は過去に2度トルコを訪れており、トルコ人イスラム教徒をボスポラス海峡西のヨーロッパ側から排除したがっていたと述べた。

「ヨーロッパを意味するボスポラス海峡の西側、つまり欧州に、我々トルコ人は行くべきではないと(銃撃犯は)言っていた。でなければイスタンブールへ来て我々を皆殺しにして、国土から追い出すと脅していた」

モスク襲撃の一部が映った不鮮明な動画は、少なくとも3つの集会でスクリーンに映し出された。オンライン上の声明からだとする抜粋もあった。

エルドアン大統領はまた、野党・共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首が「イスラム世界に根付いたテロ」について語っている動画を流し、同党首を非難した。

相次ぐ非難

ニュージーランドのピーターズ外相は、銃撃事件直後にクライストチャーチを訪れたトルコのメヴリュト・チャヴシュオール外相を含むトルコ高官に対し、自身の立場を明確に示した。

ピーターズ外相は、「この国を誤った形で表現するいかなるものも、特に(容疑者は)ニュージーランド人でなかっただけに、国内外のニュージーランド人の未来と安全を損なうものであり、まったく不当なことだ」と述べた。

「ニュージーランドのこともトルコのことも、誤って伝えられないことが大事だと、長い議論をした」

トルコのアナドル通信社によるとCHPの広報担当、悲劇から政治的得点を稼ごうとしたとエルドアン大統領を非難した。

「票ををいくらか増やしたいからと、この残忍な大虐殺を見せる価値があるだろうか」とファイク・オズトラク氏は批判した。

拡散された犯行動画

銃撃の様子はフェイスブックでライブストリームされた。この動画は削除されたが、たちまち複製され、YouTubeやツイッターなど複数のサイトで広く共有された。

動画を掲載した報道機関に怒る人も大勢いた。英チャンネル4のアナウンサー、クリシュナン・グル=マーティ氏は英デイリー・メールと英デイリー・ミラーを名指しして、「クリック稼ぎにしても最低のやり方だ」と批判し、削除するよう求めた。動画を放送した複数のオーストラリアメディアにも批判の声が上がった。

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、フェイスブックやその他のソーシャルメディア大手に対し、この事態についてどう対処するのかを問う「さらなる質問」があると述べた。

「ソーシャルメディアプラットフォームが広範囲に及ぶのは一目瞭然だ。これは、ニュージーランドをはるかに越えた問題だ」

こうした中、18歳の少年が18日、犯行のライブ配信動画を拡散したとして訴追された。

クライストチャーチの裁判所に出廷した少年は「標的をとらえた」というメッセージと共に、現場となったモスクの写真を拡散した罪にも問われており、それぞれ最長で禁錮14年が言い渡される可能性があるという。

(英語記事 Erdogan shows NZ attack video at rallies