また、既に多数の登録者数を獲得しているユーチューバーが、その影響力を利用して、マッチングサイトの広告、怪しげな金融商品や情報商材の広告、投資の勧誘広告を行っている事実も見受けられる。「ユーチューブでは何をやっても再生数さえ稼げればいい」という誤った風潮がまん延し、違法・有害なコンテンツがユーチューブ上で氾濫してしまったという現実が存在する。

 このような状況を生んだ要因の一つに、ユーチューブがテレビやラジオと異なり、放送基準の適用がないことが挙げられる。上記の動画は、既存のテレビやラジオでは到底放送することのできない内容である。事実、違法・有害動画の撮影中の行為で、刑事事件として立件された事例もあった。

 ユーチューブの運営側もこの手の批判を知ってか知らずか、最近は違法・有害動画対策として、コミュニティーガイドラインの厳格化を図っているようだ。実際、違法・有害動画を投稿して、アカウントを停止されたユーチューバーもいる。

 しかし、現在のユーチューブを見てみると、上記のような違法・有害コンテンツがいまだ多数存在しているのが現状である。たとえコミュニティーガイドラインが厳格化されても、ガイドライン通りに厳格運用される体制を整えていなければ、厳格化の意味がない。

 このごろ、テレビの視聴率低下とネット動画配信の隆盛に伴って「テレビがつまらない」という意見をよく目にする。テレビは、これまでのさまざまな経験をもとに培われてきた放送ルールに従い、多くの人に害なく見られるコンテンツを作ってきた。

 それゆえ、視聴者にとっては、表現としての刺激が物足りなく感じることもある。特に、違法・有害なコンテンツをネットで簡単に見ることができる現状の下では、テレビとの比較で、その物足りなさが際立ってしまっているところから生まれてきた表現であろう。
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージです(ゲッティイメージズ)
 その影響は広告費にも表れている。電通が発表した「2018年日本の広告費」によれば、地上波テレビの広告費が1兆7848億円で前年を下回った。一方で、インターネット広告費は1兆7589億円で5年連続の2桁成長を続け、地上波テレビの広告費に肉薄している。

 つまり、ネットでのコンテンツ配信が利益になるというのは、もう否定できない事実である。この事実を前提として、コンテンツ配信者にどのように適切な配信に対する基準や倫理を持ってもらうかが、今後さらに問われている。