2019年03月22日 13:33 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領は21日、イスラエルが占領しているゴラン高原をイスラエル領と認めるべきだと発言した。イスラエルは1967年の第3時中東戦争でシリアからゴラン高原を奪い、1981年に併合すると発表したが、これまでアメリカを含む国際社会はこれを認めていない。

トランプ大統領はツイッターで、「52年たった今、アメリカがイスラエルのゴラン高原に対する主権を全面的に認める時が来た。イスラエルと地域の安定にとって、戦略的にも安全保障面でも重要なことだ!」と述べた。

ゴラン高原の奪還を模索しているシリアは、現時点でこの発言に反応していない。

一方、イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相はツイッターで、「イランがシリアを拠点にイスラエルを破壊しようとしている中、トランプ大統領はゴラン高原に対するイスラエルの主権をはっきりと認めてくれた」と投稿し、トランプ大統領に感謝した。

ネタニヤフ首相はかねてより、敵対するイランがシリアで「軍拡」を続けていると警告し、シリア駐留イラン軍への空爆を指示してきた。

<関連記事>


アメリカの元国務省政策企画本部長で現在は外交問題評議会の議長を務めるリチャード・ハース氏は、トランプ氏に「強く反対する」と発言。イスラエルのゴラン高原での主権を認めることは、「戦争による領地拡大を認めない」という国連安全保障理事会の決議に違反していると指摘した。

ネタニヤフ首相は4月9日の総選挙で接戦を強いられることが予想されているほか、さまざまな汚職疑惑にも直面している。トランプ氏の発言は、こうした状況でのものだ。

トランプ大統領は2017年、エルサレムをイスラエルの首都と認め、テルアビブからアメリカ大使館を移転するよう支持した。

イスラエルはエルサレムを「永遠で不可分の」首都としている一方、パレスチナは東エルサレムを将来独立した際の首都にすると主張し、対立している。国連はこの決定がアメリカの長年の中立性を破るものだとして、総会で撤回を求める決議を行った。

ゴラン高原とは?

ゴラン高原はシリアの首都ダマスカスから南西60キロの地点に位置し、広さはおよそ1200平方キロメートル。

イスラエルは1967年の第3次中東戦争でシリアからこの高原の大部分を奪ったほか、1973年の第4次中東戦争では奪還しようとしたシリア軍を退けた。

両国は1974年に停戦合意し、全長70キロの非武装地帯を設けた。この地域は兵力引き離し地帯として国連主導の部隊が監視している。しかし両国はなお、事実上の戦争状態にある。

イスラエルの議会は1981年、ゴラン高原にイスラエルの「法と司法、行政」を適用する法案を可決し、事実上この地域を併合した。しかし国際社会はこの動きを承認せず、なお占領されたシリア領として扱っている。

国連はこの年、安保理決議第497号でイスラエルのゴラン高原併合は「無効で国際的な法的効力を持たない」と定めた。

ネタニヤフ首相がゴラン高原を手放すことはないと宣言したことついて、オバマ米政権は2016年、国連安保理の懸念表明決議に賛成票を投じている。米政府が国連でイスラエルに反対する投票行動をとるのは異例。

シリアはかねてから、イスラエルがゴラン高原から完全撤退するまでは和平協定を結ばないとしている。アメリカが主導した最後の和平交渉は2000年に決裂し、その後は2008年にトルコが仲介役となって間接的な協議が行われた。

ゴラン高原には現在、イスラエル人の入植地が30カ所以上設置され、推定2万人が暮らす。こうした入植地は国際法上では違法とされているが、イスラエルは合法性を主張している。

ゴラン高原にはイスラエルからの入植者のほかに、イスラエル侵攻時に脱出しなかったシリア人約2万人が住む。その大半はドゥルーズ派のイスラム教を信じるアラブ人。

(英語記事 Trump: Time to recognise Golan as Israeli