他方、進展する北朝鮮を巡る状況の中、ワシントンの古い安全保障エリートたちと、数少ない安倍・トランプ間の首脳会談に多くを依存した日本の外交戦略はスピード感を欠き、日本は北朝鮮問題にかかわる足場を喪失することとなった。その意味でワシントンにおける日韓両国の競争の第2ラウンドは、韓国の優位に進んだように見える。

 しかしながら、事態は再び変化を見せている。ここでも転換点を二つ挙げるなら、一つはあまりに事態が早く展開した結果、韓国が次の戦略目標を見失ったことである。

 17年に成立した文在寅政権は、北朝鮮によって繰り返される核とミサイル実験の中、北朝鮮との対話の実現は容易ではないと考え、ゆえにまずその実現を目指していた。

 だからこそ、その対話が早々に実現された今、彼らは「ここから何をすべきか」について明確な展望を有していない。北朝鮮の核廃棄を早々に実現することが困難なのは明らかであり、これを巡る米朝協議の停滞は、当然ながらアメリカを大きくいら立たせることになる。そして、これを解決する方法を韓国政府は有していない。

 もう一つは、やはり事態のあまりに早い展開の結果、韓国が日本の影響力を過小評価するようになったことである。18年後半に入り、旭日旗問題や徴用工判決、さらにはレーダー照射問題や国会議長による天皇謝罪発言にみられる、いたずらに日本を刺激する発言が目立った。

 この背景には、日本政府の反対にもかかわらず、北朝鮮を巡る対話が急速に進んだことで、ワシントンにおける日本の影響力を小さく見るようになったことがある、と言われている。文正仁(ムン・ジョンイン)大統領特別補佐官が2月の東京における講演で述べたように「北朝鮮問題で日本の役割はない」という認識が広がっている。

 だとすると、安倍政権の朝鮮半島外交における手腕は、この日韓両国の競争の第3ラウンドでこそ問われることになる。重要なのは、この朝鮮半島を巡る日韓両国の競争が、単に東京とソウルの間でのみ行われているのではなく、主としてワシントン、さらには国際社会における影響力競争として行われていることである。
中韓ビジネス・サミットに臨む(左から)文在寅大統領と安倍晋三首相=2018年5月、東京・大手町の経団連会館(斎藤良雄撮影)
中韓ビジネス・サミットに臨む(左から)文在寅大統領と安倍晋三首相=2018年5月、東京・大手町の経団連会館(斎藤良雄撮影)
 日本外交の最大の武器は、自らの経済力でも軍事力でもなく、同盟国アメリカをはじめとする各国との協力関係だ。そのことを確認して、この小稿を終えることとしたい。(文中一部敬称略)

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