田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 現在の日本経済を考える場合、参考になる三つの国がある。韓国、ベネズエラ、米国である。いずれの国の経済を考えるときも、キーとなるのは、財政政策と金融政策の「協調」である。

 実際の経済政策の運用に100点満点はない。いずれも、その国の置かれた海外との関係や国内の政治状況、政策当事者たちの個性が影響し、理想的な経済政策が実現できるのはそう簡単ではない。

 その中で、米国の経済政策は合格点をかなり上回る。トランプ大統領には、主に政治的な立場の違いやマスコミの取り上げ方により、日本でもリベラル層を中心に拒否反応が強い。そのため、大統領就任前後からトランプ政権の経済政策にも厳しい批判が多かった。

 だが、現在の米国経済は直近の雇用動向に多少の不安(農業部門以外の就業者数増加の低迷)があるものの、半世紀ぶりとなる低失業率を維持している。これはトランプ政権の財政政策のスタンスが拡大基調にあることに加え、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策においてイエレン前議長時代の「成功の遺産」があったからだといえる。

 そして、パウエル議長の機械的ともいえる利上げ路線を、トランプ大統領が事実上「政治介入」して押しとどめたことも大きな注目点だ。FRBは、現段階では機械的利上げから様子見に転換している。これは、国際的経済環境の悪化の前では、正しい財政と金融の協調といえる方向性だ。

 日本では、消費増税路線を放棄していない安倍政権の財政政策のスタンスと、日本銀行による、「取りあえずなんとか合格点」の金融緩和政策の組み合わせで、上手く協調できていない。前者を40点とすれば、後者は60点だ。

 平均すると50点で不合格というのが、「現時点」の筆者の判定である。その意味で、より点数の高い米国の経済政策は参考になる。
トランプ米大統領(左)とパウエルFRB議長=2017年11月、ホワイトハウス(ロイター=共同)
トランプ米大統領(左)とパウエルFRB議長=2017年11月、ホワイトハウス(ロイター=共同)
 ベネズエラについては最近、この連載でも詳細に書いたので触れない。簡単にいえば、政府による極端な市場介入は経済を殺してしまう、ということをベネズエラ経済は示している。

 さて、韓国経済はどうだろうか。実は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の経済政策の失敗の影響で、深刻な状況にある。