日本の最低賃金引き上げは、生活保護との「逆転現象」を解消し、非正規雇用の人たちの所得安定にも必要な政策だ。と同時に、この3%程度の引き上げであれば、経済全体が拡大する中では無理なく吸収できるレベルでもある。

 ところが、韓国ではそうなっていない。雇用統計を見れば、若年から中年までの労働者の雇用や非正規雇用で採用が減少し、悪影響を与えている。また、韓国の社会不安の根源ともいえる若年失業率は相変わらず2ケタ近くで高止まりしたままだ。

 最低賃金の引き上げは、労働市場で「弱者」といえる若者や非正規雇用者に悪影響を及ぼす。韓国の失業率が4%台と、急速に悪化した背景には、明らかに文政権による最低賃金引き上げがある。

 それでも、韓国経済の悪化はまだ始まったばかりだ。先ほどのマクロ経済政策の失敗や、最低賃金引き上げの失敗を、文政権が正すことをしていないことにある。

 そして、今後顕在化するリスクもある。いわゆる「米中貿易戦争」による貿易悪化の影響が、まだ雇用に及んでいないと考えられるからだ。つまり、韓国の雇用情勢はさらに悪化する可能性がある。

 韓国経済が、「輸出依存」体質なのは周知の事実である。その寄与度は、18年の経済成長率のほぼ半分にも該当する。

 直近の貿易統計を見ると、主力である半導体などを中心に大きく落ち込み、対前年同月比で約6%減少した。この輸出減少は昨年末から継続している。

 原因は、先述の米中貿易戦争や、英国をはじめとする欧州経済圏の不振、そしてロシア経済の景気減速など世界経済の取引規模縮小にある。そして、この輸出の落ち込みは、韓国の雇用状況にまだ反映されていないというのが大方の見方だ。
韓国の首都ソウルの繁華街、明洞(ミョンドン)=2015年3月(三尾郁恵撮影)
韓国の首都ソウルの繁華街、明洞(ミョンドン)=2015年3月(三尾郁恵撮影)
 要するに、海外発の雇用落ち込みが顕在化するのはこれからなのである。輸出の落ち込みは、韓国の国内企業の設備投資減少をもたらし、そして雇用減少に至る。

 今後、韓国は「三つの衝撃波」をかぶることになる。「マクロ経済政策の失敗」「最低賃金引き上げの失敗」「輸出依存経済のリスク」である。